
Photo by ダソム・ハン
彷徨う自身をそのままに
そのように振り幅の広い楽曲をひとつにまとめているのが、ミックスを手掛けたノーマン・ニッチェだ。彼はホワイテスト・ボーイ・アライヴや同バンドのフロントマンを務めるアーランド・オイエの作品にも携わってきたエンジニア。ヒョゴの4人はホワイテスト・ボーイ・アライヴのファンであることも公言しており、彼らとしても念願のオファーとなったようだ。本作で実現されたスケール感の大きな世界照準のサウンドは、そうした作品を支えてきたノーマンの手腕によるところも大きい。
「ホワイテスト・ボーイ・アライヴのアルバムのように、完成度の高い作品を作ってみたかったんです。彼らのサウンドはオリジナリティーがあって、現代的でユニーク。なかでもノーマンさんのミックスには抑制されたエネルギーがあって、すべての音が光を放っているように感じたんです」(オ・ヒョク)。

Photo by ダソム・ハン
また、改めて再認識させられるのがヴォーカリストとしてのヒョクの素晴らしさだ。ソウルフルでありながら、どこか危うさと儚さを秘めた歌声はさらに磨きがかかっている。「人間関係に対する懐疑や虚無感を元にした」(オ・ヒョク)という“Die alone”、一昨年亡くなった友人に捧げられた“Simon”、ピアノだけをバックに歌われる“Paul”などに滲む悲哀と孤独、そこから立ち上がろうとする力強さは、少年と大人の境界線で揺れ動くヒョクの心情を瑞々しく描き出している。
「僕ら自身、自分たちの人生のなかでまだ彷徨っているし、答えを探そうともしている。だから、これまで同様、今回の収録曲のなかでも何らかの解答や代案を提示していないんです。彷徨っている自分たちをそのまま描こうと。まだ僕は大人になりきれてない気もするし……ただ、たった一度の人生で一度きりのこの瞬間を後悔しないようにたくさん悩んで、考えていきたいと思っています」(オ・ヒョク)。
『20』から『22』、そして『23』へ。メンバー4人の〈23歳〉を時に生々しく、時にドラマティックに映し出す12曲の物語。本格的な日本進出アルバムとなる本作が、ひとりでも多くのリスナーに届くことを願ってやまない。
ヒョゴの作品。
ノーマン・ニッチェがミックスを手掛けた作品を一部紹介。