インタビュー

キノコホテル 『マリアンヌの呪縛』

新装開業から1年半。新ベーシストを迎えてからようやく届けられたオリジナル・アルバムは、より自由な発想と逞しいグルーヴに満ちて!

キノコホテル 『マリアンヌの呪縛』

 2012年の暮れ、新たなベーシストとしてジュリエッタ霧島を採用。翌年5月には手慣らし的な意味合いも含みつつ、新装したバンドの満ち溢れるパッションを早くも見せつけるカヴァー集『マリアンヌの逆襲』を届けたキノコホテル

  「いまはラクですね、すごく。キノコホテルは今年の6月で7年になるんですけど、それなりに人を替えつつやってきて、ようやくその、良い意味でラクに。うん、なんていうのかしら、本当に最低限のコミュニケーションだけでやれてる……って完全に満足しているわけではないですけど、ワタクシが口を酸っぱくして多くを語らずとも、3人がそれぞれに考えて察してくれるようになってきたように思います。おかげでかなりストレスは減ったわね」(マリアンヌ東雲/歌、電気オルガン:以下同)。

 そんな〈風通しの良さ〉は、1年半ぶりとなる通算4枚目のオリジナル・アルバム『マリアンヌの呪縛』にも顕著だ。GSガレージといった60年代的ニュアンスを原点としながらも、作品を重ねるにつれ、徐々にそれらの言葉では語り尽くせないチャームを開陳してきたサウンドは、より自由度を増し……。

キノコホテル マリアンヌの呪縛 YAMAHA(2014)

 「そうですね。なんだっていいじゃないのっていう。何かの真似をしてるわけでもなく、トリビュートの意図を持ってやってるわけでもない。キノコホテルとしてやりたいことをただやっているだけなの。いちいちジャンルを引き合いに出さないと語られないだなんて寂しいことだなって思う」。

 アルバムは、勇壮なイントロ(支配人いわく「水戸黄門じゃないわよ」)の曲“ボレロ昇天”に始まり、「寂しいオヤジ受けを狙った曲(フフッ)」というセンチメンタル歌謡“冷たい街”、アーバンな詞世界とトリッピーなサウンドがまぐわうダンス・ロック“Fの巡回”、スリリングでキャッチーなロックンロール“ばら・ばら”、ゴキゲンなインスト“ゴーゴー・キノコホテル”を挿んでパンキッシュな“恋の蟻地獄”、ファンキーなオルガン・プレイが病みつきになる“完全なる支配”、「いちばん自分っぽい感じかしら」と語る官能的ナンバー“セクサロイドM”、狙いは〈J-Pop〉ながらも歌詞にはキノコホテルらしいエグさを忍ばせた“肉体と天使”、そしてラストは、涅槃へと誘うような幻想的逸品“夜の素粒子”──。

  「(“夜の素粒子”は)我ながら、良い曲書くじゃない?って思ったわ。この曲はコーラスをたくさん重ねたくて書いた曲なの。8本くらい録ったかしら。初めての試みでとても楽しかった。冒頭はオルガンとコーラスのみで、歌のニュアンスやリズムは淡々としていてどこか素っ気ないんだけど、そこはかとなく温もりと慈愛も感じる……そのへんのバランスは絶妙なのではないでしょうか。途中に入ってくるギターの泣きっぷりときたら……どこまで本気なのか判らない感じが、また良い(笑)」。

 なお、今作におけるレコーディング・エンジニアは、これまでの中村宗一郎に替わって、南石聡巳が担当。録音面でもキノコホテルのアップデートが図られている。

  「なんとなくの好奇心で、他の方にいじってもらったらどうなるんだろうって……かなり探り合いながらの作業だったわ。うん、難しかった。キノコホテルの魅力って、一見わかりやすそうで難しい部分があるのかしらね。でも、最終的に音楽性による新鮮味もレコーディング及びミックスによる新鮮味も両方出せたと思うわ。これ聴いて〈GSっぽくて云々〉だなんてまだ言う人がいたら相当無恥なリスナーね(笑)」。

 

 

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 ここではキノコホテルの作品をおさらいしてみましょう。2007年6月に活動を開始し、インディーでのリリースを経て届けられたのが、2010年2月のメジャー・デビュー作『マリアンヌの憂鬱』(徳間ジャパン)。同年8月には、カルトな歌謡曲を取り上げたカヴァー・ミニ・アルバム『マリアンヌの休日』(同)を、翌2011年にはセカンド・アルバム『マリアンヌの恍惚』(同)と、快調にリリースを重ねていきます。2012年12月にはサード・アルバム『マリアンヌの誘惑』(YAMAHA)を、2013年5月には、マリアンヌ東雲のより深い音楽ルーツを開陳してみせたカヴァー・ミニ・アルバム『マリアンヌの逆襲』(同)を発表。レーベル移籍後の作品は、いずれもジャケットのアートワークが異なるアナログ盤もリリースされました。 *bounce編集部
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

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