ピアノ曲を愛する、すべての人に贈る決定盤!
ピアノを自在に歌わせ、精力的な演奏活動で知られる小原孝。幅広いジャンルの音楽を独自のアレンジでカヴァーする企画で人気のNHK-FM「弾き語りフォーユー」も今年で19年目に突入する長寿番組となっている。そんな彼が《乙女の祈り》《トルコ行進曲》《エリーゼのために》などが冒頭を飾る、クラシック・ピアノの名曲ばかりを集めた2枚組アルバムをリリースした。
「最初の3曲は番組でも歴代最多リクエストを誇る名ナンバー。技術的に難しくはないが“やっぱりいい曲だよね”って納得して貰えるように本気で弾きました」
ベートーヴェンやシューベルトなど、ピアノ音楽創造の歴史に燦然と輝く大作曲家の作品から愛奏曲を選りすぐりで新録音。もちろんショパンは外せない。
「太田胃散のCMでお馴染み〈24の前奏曲作品28〉の第7番と、私の演奏でキャベジンコーワのCMに使用された《パガニーニの想い出》がよく混同されるので、この際並びで収録してみました…ちなみにどちらもイ長(胃腸)調です(笑)。今回とりあげなかった名曲も当然、沢山ありますのでそれはまた次回に…(笑)」
教則本で知られ、近年はコンクールなども開催されブームとなっている19世紀ドイツのブルグミュラーに、今年生誕100年を迎える米国のギロックと、今レッスン現場で人気の2大作曲家の作品も本盤の目玉。
「今回《墓の陰に》という曲を恐らく世界初録音したロマン派のブルグミュラーと、ジャズ や印象派の味わいもありペダルの使い方が魅力的なギロックとでは時代も作風も違うが、どちらも音数が少なくてメロディが美しく、何回でも弾いてみたくなる“心と指に優しい”練習曲を書いているので初心者にはお薦め。その上、プロの演奏家のプログラムにも十分なり得る」
他にも、指一本でグリッサンドを奏でるその名も《バター付きパン》(モーツァルト)のような遊び心に溢れた楽しい作品から、シューマンの〈子どものためのアルバム作品68〉からの曲、《人形の夢と目覚め》(エステン)や《今何時?》(ラヴァーニュ)など、ピアノの発表会などにピッタリ の名曲たちが盛り沢山。
「ラジオ番組で演奏すると、昔ピアノを習っていた人たちからも熱い反応がある。子どもだけでなく、大人のピアノ再入門のきっかけになれば嬉しいですね」
そしてメンデルスゾーンやドビュッシーなどの名ピースでは説得力のある演奏で聴き手を唸らせる。
「やはり雰囲気だけで適当に弾ける曲ではない。特に《月の光》は独自の色彩感を出すために緻密さも必要」
ボーナス・トラックである皇后陛下作曲の子守歌も素敵。ソプラニスタ木村優一をゲストに迎えた7月(東京文化会館)と8月(白寿ホール)の公演も楽しみだ。
LIVE INFORMATION
小原孝ピアノリサイタル 2017 ~ピアノ名曲フォーユー~
○7/26(水)19:00 開演 会場:東京文化会館 小ホール
○8/4(金) 13:30開演 会場:白寿ホール(渋谷)〈追加公演〉
出演:小原孝
ゲスト:木村優一(ソプラニスタ)
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