スキャット唱法のデパートと言ったらエラ・ファンに叱られるかもしれないが、それほどに、ここにはスキャットの真髄が詰まっている。エラのスキャットの凄さは、勿論単にメロディ・ラインからのアドリブに終わらず、そこから引き出され、挿入される様々なメロディ、さらに当然だが、“歌詞のアドリブ”がユーモア溢れるセンスで展開されることだ。メロディライン、歌詞の内容、メロディラインから引き出される付帯するジャズの知識。縦横無尽に繰り出される歌は、聴くもののジャズへの造詣の深浅を浮き彫りにしてくれる。エラのやっていることがみんな分かればジャズ大学院卒業だ。