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気持ちのいい轟音を浴びたいモグワイ
中世的な歌声に魅了されるシガレッツ・アフター・セックス

――そして、ポスト・ロック界ではもはや大御所とも言えるモグワイも9月に新作『Every Country’s Sun』の発表を控えて来日します。絵音くんはポスト・ロックとの接点も大きいですよね?

川谷「僕がライヴハウスに出はじめた時期はtoeを真似たようなバンドがいっぱいいて、下北沢ERAのブッキングとかはホントにインスト・バンドばっかりでしたね。モグワイに関しては、アルバム・リーフとかと一緒にそのへんをバーッと聴いていた時期があって、あとゲスの極み乙女。のエンジニアを(toeの)美濃(隆章)さんにやってもらってるんですけど、レコーディングのときにモグワイ流したりするから、それをずっと聴いてて。ライヴは見たことないので、気持ちいい轟音を浴びたいです。今回シューゲイザー系多いですよね? モグワイ、ライド、シガレッツ・アフター・セックスもそういう感じあるし」

2017年作『Every Country’s Sun』収録曲“Coolverine”のライヴ映像
 

――ライドは実に21年ぶりとなる新作『Weather Diaries』が大きな話題を呼んでいて、同じく20年以上ぶりの新作を発表したスロウダイヴらとともに、90年代のシューゲイザー・バンドがあらためて注目を集めていますが、絵音くんはそのあたりのバンドは通ってますか?

川谷「ライドは初めてちゃんと聴いたのが3年前とかなんですよね。原点回帰というか、シューゲイザーの元を辿ってみようと思って、いろいろ聴いてみたなかで、やっと聴いたって感じ。それまではマイブラも『Loveless』(91年)を聴いたことがある程度だったんですよ。デプレシエーション・ギルドだけは妙に好きだったんですけど、それもマイブラの影響下にあるっていうのを知らずに聴いていて、その後マイブラをちゃんと聴いたら、〈これじゃん!〉という(笑)」

※ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートのメンバーだったカート・ゲルドマン率いるシューゲイザー・バンド

――(笑)。小林くんはライドのファンを公言してるし、90年代のシューゲイザー・バンドは一通り聴いている?

小林「ライド、マイブラ、チャプター・ハウス、スロウダイヴとか、好きなバンドはたくさんいるんですけど、〈シューゲイザーだから聴く〉っていうのは少なくて、〈シューゲイザーやってます〉みたいなバンドは意外とスルーしちゃうことが多いんですよね。自分のなかで引っかかるものと、〈そういう雰囲気のやつら〉だなってスルーしちゃうものの差が、いちばん激しいジャンルかも。曲が良くなくても、質感がよければ聴けるものもあるけど、半端な人たちが多い印象もあります」

ライドの2015年のライヴ映像。90年作『Nowhere』収録の人気曲“Vapour Trail”を演奏
 

――ポスト・ロックもシューゲイザーも、スタイルとしてはっきりしてるぶん、その表面だけなぞったようなバンドもいっぱいいますもんね。でも、ライドはやっぱり特別?

小林「ライドは自分たちのことをシューゲイザーとは思ってなくて、普通のロック・バンドとしてやっていたと思うんですよ。出で立ちも好きだし、アートワークのフォントの使い方、写真素材の使い方も含めて、すごくコンセプチュアルで、ああいう耽美な雰囲気のあるものは大体好きでしたね。コクトー・ツインズとかもそうだし」

川谷「コクトー・ツインズは俺も大好きです。やっぱり、4ADは追っちゃう」

小林「うん、4ADは贔屓しちゃうよね。そういえば、(4ADの)メチル・エチルは絵音くんから岩田さん経由で教えてもらったんですよ。聴いたら良すぎて、彼らのフェイスブックに〈すごく良かった。僕もバンドやってるからよかったら聴いてみて〉って書いたら、〈めっちゃいいじゃん〉って返ってきた」

川谷「メチル・エチルを初めて聴いたときにTHE NOVEMBERSを感じたんですよね。俺らも音作りで参考にしました」

メチル・エチルの2015年作『Oh Inhuman Spectacle』収録曲“Idée Fixe”
 

――あとはYouTubeでバズが起きて、今年デビュー・アルバムを発表したドリーム・ポップ系の新人、シガレッツ・アフター・セックスも出演します。絵音くんは5月に東京・原宿アストロホールで行われた初来日公演を観に行ったそうですね。

川谷「ヴォーカルの声がめちゃくちゃいいですよね。すごく低いキーで歌うから、アストロホールとか小箱だとヴォーカルが抜けないんじゃないかって心配してたんですけど、音の渦がワーッとなってる中で、声だけスコーンと抜けてきて、すごく気持ちよくて。あ、会場で吉木(諒祐/THE NOVEMBERSのドラマー)さんと会いましたよ」

小林「ああ、行ったと言ってた。中性的な声という意味では、ちょっとチェット・ベイカーっぽいですよね。彼の“My Funny Valentine”のように女性のエッジーな部分が低い声に乗ってて、〈男なの? 女なの?〉って感じになる」

川谷「わかります。高くて女性的に聴こえるのはよくあるけど、低いのに女性的に聴こえるってあんまりないですもんね。ヴォーカルの倍音もホントに気持ち良かったです」

2016年のライヴ映像

 

オーディエンスを信用しているらこそ、いまの自分たちをちゃんと出す

――では最後はそれぞれのバンドの話で締め括りましょう。小林くんはTHE NOVEMBERSで〈フジロック〉に、絵音くんはindigo la Endとゲスの極み乙女。で〈サマソニ大阪〉への出演が控えているので、今年の夏に向けた意気込みを聞かせてください。

小林「端的に言えば、いつも通りにやろうと思います。もちろん、〈フジロック〉のホワイト・ステージに立てるのは嬉しいし、光栄なんですけど、オーディエンスを信用しているので、普段の自分たちに自信を持って、胸を張ってやりたいなって」

川谷「個人的には、〈ホワイト・ステージでTHE NOVEMBERSを観てみたい〉っていうのがあったから、それがめっちゃ嬉しいですね

THE NOVEMBERSの2017年の映像作品「美しい火」に収録された“こわれる”の演奏
 

――フジではそれぞれ2014と2015年にレッド・マーキーに出演されてますが、そのときはどうでしたか?

小林「あのときは真逆の気持ちでした(笑)。すごく気を張って、〈爪痕残してやる〉って感じで、それが良かったのかもしれないけど、ホントにやるべきことはあれじゃなかったのかなって。あのときのベストではあったけど、いまもう一回やるってなったら、全然違うことをやると思う」

川谷「俺もまったく同じです。2015年に(ゲスの極み乙女。で)レッド・マーキーに出たときは、俺以外一切演奏しない打ち込みの曲とかやっちゃって、今思うと超謎だったなって(笑)。そのあとに岡村(靖幸)ちゃんがいつもどおりにやってて、〈これだよな〉って思いました」

――じゃあ、今年はどちらもいい意味で普段通りのライヴが見れそうですね。

川谷「そうですね。去年はゲスの極み乙女。で東京の〈サマソニ〉に出て、レディオヘッドと同じステージだったから、すごく感慨深かったんですよ。すごく暑かったし、あんまりちゃんと聴こえなかったから、〈今日じゃないんだろうな〉と思って、レディオヘッド自体は3曲だけ見て帰っちゃったんですけど(笑)、〈ちゃんとこの世界にいるんだ〉って確認できただけでも良かったです。自分たちのライヴとしては、去年は〈サマソニ感〉を出しすぎて、自分たちっぽくないこともやっちゃったりしたんで、今年はもうちょっとフラットにやろうと思ってて、indigo la Endもゲスの極み乙女。もいまの自分たちをちゃんと出したいですね」

ゲスの極み乙女。の2017年作『達磨林檎』収録曲“心地艶やかに”

 

HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER(SUMMER SONIC 2017)
日時:2017年8月19日(土)
会場:千葉・幕張メッセ
出演:セイント・ヴィンセント/モグワイ/ホラーズ/ライド/ビーク>/シガレッツ・アフター・セックス/ブランク・マス/マシュー・ハーバート(DJ)
開場/開演:22:30/23:30
料金:一般/9,500円、サマソニ・ソニックマニアチケット購入者限定割引チケット:5,000円
※SUMMER SONIC東京各券種またはSONICMANIAのいずれかを購入されている場合は特別価格にてご購入いただけます。
※予定枚数に達し次第特別価格での販売は終了いたします。
※SUMMER SONIC各種入場券、SONICMANIAの入場券ではHOSTESS CLUB ALL-NIGHTERへはご入場頂けません。
※一般先行・一般発売での購入後の差額の払い戻しは致しません。
※SUMMER SONIC・SONICMANIAの入場券を購入せずに特別価格のチケットを購入された場合は、当日一般価格との差額をお支払いいただきます。
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■ゲスの極み乙女
2017年8月20日(日)〈SUMMER SONIC OSAKA〉MOUTAIN STAGEに出演!

〈ゲスの極み乙女。全国ワンマンツアー 「丸三角ゲス」〉
2017年8月1日 (火)東京・渋谷WWW X
2017年8月3日 (木)北海道・札幌ペニーレーン24
2017年8月7日(月)福岡DRUM LOGOS
2017年8月8日(火)広島CLUB QUATTRO
2017年8月15日(火)新潟LOTS
2017年8月16日(水)仙台Rensa
2017年8月28日(月)大阪BIGCAT
2017年8月29日(火)名古屋DIAMOND HALL
2017年9月3日(日)東京 日比谷野外大音楽堂
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■indigo la end
2017年8月19日(土)〈SUMMER SONIC OSAKA〉WHITE MASSIVEに出演!

〈全国ツアー『始藍』〉
2017年9月15日 (金)大阪 なんばHatch
2017年9月17日 (日)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2017年9月20日(水)名古屋 ダイアモンドホール
2017年9月22日(金)Zepp Tokyo
2017年9月25日(月)高崎 club FLEEZ
2017年9月26日(火)仙台Rensa
2017年9月28日(木)札幌 ペニーレーン24
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■THE NOVEMBERS
2017年7月30日(日)〈FUJI ROCK FESTIVAL 2017〉WHITE  STAGEに出演!

〈「ROSES」THE NOVEMBERS live at SHINAGAWA GLORIA CHAPEL〉
2017年8月25日(金)東京・品川グローリアチャペル
※バンド+管楽器・鍵盤の特別編成でのライヴ
開場/開演:19:00/19:30
料金:前売り ¥5,000 当日 \5,500円
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