BRITPOP IS 30?
過去と未来が同時に現在へと迫ってくる英国ロック勢の超世代的な賑わい
AG・クックの『Britpop』を聴いてふと思い出したのですが、2024年は〈ブリットポップ〉の呼称が言い交わされるようになった94年からちょうど30年の節目でもありました。AGのタイトルに関してはジョークのようなものだとしても、そんな折にちょうどオアシスが復活してきたのはデカすぎるトピックでしたし、さらにはジェイムズやシェッド・セヴンといったドンピシャ世代のヴェテランたちがチャートでも成功して復権し、クーラ・シェイカーもオリジナル構成員で前線復帰、ポスト・ブリットポップ組のトラヴィス(や、もはや別格ながらコールドプレイも……)が新作を発表、ステレオフォニックスのケリー・ジョーンズもソロ作をリリースしていました。逆に遡って先達にあたるプライマル・スクリームやライド、ジョン・スクワイアも……というふうに、ブリットポップ時代の前後からグラデーションでリスナーを牽引し続けた往年のUKビッグネームたちがやたら元気だったのは偶然でしょうか?
で、そこから強引に考えれば、同じように英国ポップ音楽シーンでコマーシャルな成功を収めたことのあるリバティーンズやらカサビアンやら〈メジャー感〉のある今世紀組のバンドたちも2024年にはこぞって新作を発表していたわけで、さまざまな時代にトップを張ったロックスターたちが同時多発的に集中して新作を仕上げてきたことになります。そして、(そんなふうに呼ばれている様子はまったくありませんが)ラスト・ディナー・パーティーのように、近年のUKバンドによくあるインディー評価的な文脈を飛び越えてあっさりコマーシャルな成功を収めるような人たちが出てくるというのも往時のムードを思い出させたりして……呼称の定義などはともかく、2024年は華のある新旧のUK産バンドがたくさん出てきて賑やかだった、という話です。