薬物依存や自殺未遂など辛い過去を赤裸々に綴った初作から2年。20歳になったメンフィス出身のシンガー・ソングライターによる2作目は、外部プレイヤーを起用して音の厚みが増した印象だ。独白調の歌世界はそのままながら、ヴァイオリンやフィドルに後押しされ、“Appointments”で〈きっと何もかもうまくいく〉と明日への希望を垣間見せる瞬間が泣ける。〈フォーク版ラナ・デル・レイ〉といった雰囲気。
2015年、LP限定で登場したデビュー・アルバム『Sprained Ankle』は、赤裸々な歌詞と触れたら崩れ落ちてしまいそうな危い歌が人々の心を捉え、メディアでも絶賛の嵐となった。その後、人気は留まることがなく、今年の3月にはマタドールにライセンスされて再発される加熱状態だ。そんな彼女による新作は、繊細かつひりひりとした歌唱で誰もが持つ葛藤を切実に綴る。彼女のように内面を曝け出すような歌には、聴き手にも体力や精神力が要求されるが、揺らぎや浮遊感のあるギターを中心としたアンビエンスを湛えた各楽器の響きが、心地の良い状態へと誘ってくれるだろう。日本盤に付属の対訳を読みながらどうぞ。