今回の〈Bowline〉でキュレーターを務めるSiMが掲げたテーマは〈NO DESTRUCTiON, NO CREATiON(=破壊なくして創造なし)〉。その言葉が示す通り、この日のラインナップは彼らの雑食ぶりを反映する、既成のイメージや価値観をぶっ壊すスリリングな顔ぶれとなった!
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■ キュウソネコカミ
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そんななかでトップバッターを飾ったのは、メジャー進出も決まって勢いに乗る5人組バンドのキュウソネコカミだ。シンセでポップに色づけされたアンサンブルは起爆力も抜群で、4つ打ち調の“ウィーアーインディーズバンド!!”では早くもクラウド・サーフする人が続出! ヤマサキセイヤ(ヴォーカル/ギター)が芸人顔負けのキレ芸で会場を常に沸かせつつ、みずから客席にダイヴするなど身体を張ったパフォーマンスを連発し、最後はメンバーに担がれたおみこし状態で退場。そのやんちゃぶりにエンタメ精神を見た!?
■ BiS
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さまざまなパフォーマンスを通じて既存の〈アイドル〉像を叩き壊してきたBiSは、今回のテーマにピッタリの存在と言えるだろう。初っ端の“パプリカ”からメンバー全員が歌そっちのけでヘドバンしまくると、その後もカミヤサキやテンテンコらが平気でダイヴしまくり、研究員(BiSファン)の熱狂的な反応もあってフロアはカオスな状態に。以降も絶叫の飛び交う“IDOL”やメロコア調の“BiSimulation”などで徹底的に攻めまくり、リリース前のラスト・シングル“FiNAL DANCE”も披露。7月に解散を控えているとは微塵も感じさせない振り切れぶりがカッコ良かった!
■ NAMBA 69
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SiMとは昨年のツアーや〈東北ジャム〉で競演するなど、以前から親交を深めてきたというNAMBA69。「俺の話を聞いてください」という難波章浩(ヴォーカル/ベース)の宣言から始まった“MY WAY”を皮切りに、熱いメッセージを交えながら、本人が言うところの〈ストロング・スタイル〉なメロコア・チューンを次々と畳み掛ける。実際その出音はスリーピース・バンドとは思えない厚みで、腹の底にまで響き渡る感じがハンパない! 難波の誕生日でもある6月9日(ロックの日!)にリリースされるデビュー・シングルから新曲“TRUE ROMANCE”も飛び出し、貫禄のステージを見せてくれた。
■ ACIDMAN
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近年のライヴでは恒例となっている“最後の国(introduction)”がSEで流れると、フロアからは自然と曲に合わせて手拍子が巻き起こり、会場には昂揚と緊張の入り交じった不思議な空気が張り詰める。キュレーターのSiMにとっても憧れの先輩だというACIDMANは、ハードなギター・サウンドと共に疾走する“±0”でライヴをスタート。演奏が進むにつれてさらに高まりを帯びていく三位一体のアンサンブルはこの日も好調で、これがライヴ初披露となった〈命の光〉をテーマとする最新シングル“EVERLIGHT”からはノンストップで3曲を演奏! “ある証明”“飛光”と立て続けに名曲を放つ様は圧巻の一言だった。
■ サンボマスター
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折り返しとなる5組目に登場したのは、MCのテンションの高さでは間違いなくこの日のNo.1だったサンボマスター。山口隆(ヴォーカル/ギター)のまくしたてるような口調からは溢れんばかりの熱い思いが伝わってきて、“世界をかえさせておくれよ”や“世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”“できっこないを やらなくちゃ”などのヒット曲を満載した鉄板のセットリストと相まって、会場のヴォルテージも最高潮へ。ド直球のロックンロールの合間に「あなたたちと幸せになりたいのよ!」「宇宙一のライヴさせてほしい!」と煽りまくるのだから……そりゃ盛り上がって当然でしょ!
■ DJ TAKAKI
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ここでスポットライトはメイン・ステージからDJブースへ移り、〈DMC JAPAN〉での準優勝経験もあるターンテーブリストのDJ TAKAKIが登場。煌びやかなシンセとブリブリの低音が気持ち良いEDM系の楽曲を中心とした、ここまでのライヴとはまるで違った毛色のサウンドながら、高速スクラッチやドラムンベースのビート・ジャグリングといった超絶技の連続にオーディエンスもノリノリで応える。その華麗なターンテーブル捌きはスクリーンに大きく映し出され、思わず見とれてしまう人も多数。普段はクラブ・ミュージックに馴染みのない人も、その醍醐味を存分に味わえたはずだ。
■ SKINDRED
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この日唯一の海外アクトとなったスキンドレッドは、レゲエやメタルを軸にしたへヴィーなミクスチャー・サウンドを鳴らす、音楽的にもSiMの先輩格と言えそうなUKの4人組(+ライヴにはDJも参加)。“ダース・ベイダーのテーマ”と共にメンバーは威風堂々と登場し、軍服姿のベンジー・ウェッブ(ヴォーカル)を筆頭に見た目のインパクトも十分だ。ライヴはヒップホップもダブステップも呑み込んだゴリゴリのラガ・メタルづくしで、ステージ狭しと動きまくるベンジーの巧みな煽動によってオーディエンスも大合唱! 一体感という点ではこの日いちばんのパフォーマンスだったのではないだろうか。
■ SiM
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トリはもちろん今回のキュレーターを務めたSiM。轟音スクリーモに横ノリのバックビートを挿み込んだ1曲目“Get up, Get up”から早くも場内はヒートアップし、モッシュやダイヴでもみくちゃ状態に。MAH(ヴォーカル)は「前回(のBowline)が〈ラウド・ロック全員集合〉みたいな鬼のようなメンツだったから、今回は異種格闘戦にしてみました」と語る。〈NO DESTRUCTiON, NO CREATiON〉というテーマは彼らがめざす音楽性のことでもあり、ジャンルの壁を壊して新しい音楽を創造するという気概は渾身のパフォーマンスからも伝わってくるようだ。
スロウなレゲエのリズムが心地良い“Same Sky”やライヴ人気も高いアッパー・チューン“JACK.B”などを緩急自在に畳み掛け、アンコールではクラッシュ“London Calling”のカヴァーも投下! クライマックスには2度ものウォール・オブ・デスが発生した“f.a.i.t.h”でこの日最高の〈破壊〉を演出。「次回はまた誰かが誰かなりの〈Bowline〉をやってくれるはず」(MAH)と、未来に〈創造〉のバトンを託し、6時間もの饗宴を締め括った。