多彩なビートでかけがえのない日々を謳歌する8人の個性と感性は未来へ向かう! 豊かなクリエイティヴの進化を詰め込んで待望の新作に描かれた〈青春〉とは?
いろんな方向を向いている
2010年に発足した前身ユニットから数えて、今年で結成15周年を迎えるlyrical school。スタート地点はアイドル・ラップを標榜したスタイルだったが、メンバーチェンジを経て2023年2月に現在の男女混成8人組になってからは、よりフレキシブルに活動を展開し、8畳一間の専用スタジオ〈C.R.I.B. (Creative Relaxation and Inspiring Break)〉を拠点に制作や配信を行うほか、メンバー各自がユニットの枠を超えたクリエイティヴに挑戦。DJ、ビートメイク、弾き語り、作詞・作曲、写真など、各々の得意分野を活かして全体に還元していくというスタイルは、コレクティヴとしての理想的な形かもしれない。
そんな8人では昨年4月にフル・アルバム『DAY2』を発表したが、そこからこの1年の成果を収めたのが今回リリースの新作EP『LIFE GOES ON e.p.』だ。ライヴで育ててきた新曲を中心に、『DAY2』とリンクしたreina参加のスキットや“Ringing”のリミックスも含む全8トラックを収録した本作は、これまで以上の広がりを持った内容に仕上がっている。
mana「全体を通して夜から朝にかけての時間の経過が感じられる作品の構成は『DAY2』と共通しているんですけど、今回は一曲一曲にいままで見せてこなかったメンバーの一面が出ていて。自分も〈抜き〉を意識した歌い方とか、成長した部分をレコーディングで試すことができたし、各々が新しく手にした武器を出せていると思います」
hana「『DAY2』は全編通してポップで明るいイメージがあったけど、今回のEPは〈青春〉をテーマにしつつ、どこか大人びた感じがしていて。例えば“to be continued”はメンバーが作詞していたり、他にも落ち着いた雰囲気の曲が多く含まれているので、成長したなあって思いました」
malik「〈青春〉っぽさは全体を通して流れているんですけど、楽曲ごとの振れ幅がすごいので、いい意味でカオスっていうか。ジャンルもそれぞれが持っているエネルギーの種類もみんな違うから、トゲトゲみたいにいろんな方向を向いているけど、ひとつの世界観の中にある作品っていう印象です」
先行配信された“to be continued”は、MPCプレイヤーのKO-neyによるオールドスクールなネタ満載のビートが楽しいストリクトリーなラップ・チューン。もともとは定期イベント〈C.R.I.B. NIGHT〉に向けて制作された楽曲だそうで、tmrw、sayo、mana、malikの4人が、それぞれ自作したリリックで熱量高くマイクをリレーする。
malik「自分の中でヒーローやヴィランみたいなキャラクターを1人決めて、それと自分をリンクさせてセルフ・ボースティングする、というテーマの曲で。僕は『遊戯王』のマリクっていう、昔から好きな敵キャラに自分を重ねて書きました。僕はふだん柔らかい物腰とチルなキャラクターが持ち味なので、最初は絶対に苦手なテーマだと思ったんですけど、ライヴでやればやるほど自信がついて、だんだん歌詞の内容に自分が寄ってきた感覚があります」
mana「私は熱い人が好きで、自分自身も根が熱いタイプなので、『鬼滅の刃』の煉獄杏寿郎さまをイメージしました(笑)。よく聴くと〈煉獄杏寿郎〉で韻を踏んでいるところがあって。めっちゃ言葉を詰めてて早口のヴァースがあるんですけど、そこはライヴでやるとすごく盛り上がるので、私のいちばんかっこいい部分を見せられる曲になりました」