ケンドリック・ラマーを迎えたトロピカルな“Don't Wanna Know”やフューチャーとのトリッピーな“Cold”など、先行シングルから兆候が見られたように、メロウでムーディーなサウンドへシフトしたこの6作目は、現行アーバン・ポップの流れとも一致する。ほかにもSZAやエイサップ・ロッキー、ランチマネー・ルイスをゲストに迎え、チャーリー・プースやディプロも制作に協力。超一流バンドだけあって流石の豪華さだ。もちろん、そうした顔ぶれの華やかさでお茶を濁すことはなく、持ち前の美メロは健在だし、牧歌的な“What Lovers Do”や清らかなチル・ポップ“Help Me Out”をはじめとした新機軸も多数。ウィークエンドを彷彿とさせるシンセ・ロックで幕を開け、11分半に及ぶ本編ラストのジャム演奏まで、起承転結のある構成でリスナーを飽きさせない。シングル・ヒット狙いと思われがちなグループだが、深みのある重厚なアルバムをここに完成させた。