東京ドーム公演も記憶に新しい今世紀最高のバンドが、輝かしいキャリアを集大成! 時代を彩ったヒット・シングルを通して栄光のヒストリーを改めて体感しよう!

30年以上のキャリア

 2月の東京ドーム3公演を完全ソールドアウト(!)させ、8月には4年ぶりの通算8作目となるアルバム『Love Is Like』を発表し、2025年も話題を提供してきたマルーン5。そこで決定したさらなるリリースが日本独自企画となるベスト・アルバム『The Singles Collection』だ。これは10年前の2015年にコンパイルされたシングル集『Singles』に、その後の楽曲も含む7曲をプラスして装いも新たにパッケージした作品となる。

MAROON 5 『シングルス・コレクション』 ユニバーサル(2025)

 次々に新しいスターが出てくる時代にあってグローバルな磐石の支持を誇り、デビューから20年以上もトップを守っているマルーン5だが、その前身カーラズ・フラワーズが結成された94年から勘定すればもう30年以上が経ったことになる。LAのスクールで15歳のアダム・レヴィーン(ヴォーカル/ギター)が同年齢のジェシー・カーマイケル(ギター)とミッキー・マッデン(ベース)、年長のライアン・デューシック(ドラムス)と出会って結成されたそのバンド名は、メンバー全員が憧れていた女子生徒から名付けられたという。当時の学生らしいオルタナティヴ〜インディー・ロックのスタイルを標榜し、数年かけて地元の評判を呼んでいった4人は、やがてグリーン・デイ成功の立役者として知られるロブ・カヴァロに見い出されてリプライズと契約。しかし、アルバム『The Fourth World』(97年)は不発に終わり、失望から解散まで考えた彼らは、各々の進学もあって不定期な活動にシフトする。

 地元LAの大学に進んだミッキーとライアンに対し、NYに移ったアダムとジェシーはそこで当時活況のヒップホップ/R&Bに大きく傾倒し、その経験は以降のバンドの音志向そのものを大きく変えた。本格的に再デビューに向けて動きはじめたカーラズ・フラワーズは新たな影響も加えてデモを作成し、NYのインディー・レーベルであるオクトーンと契約(このとき耳に留まったのが“Sunday Morning”だったという)。その際にステージを観たレーベルからのアドヴァイスは、〈アダムがフロントマンとして機能できるようギタリストを追加すること〉だった。こうして加わったのがバークリー音楽大学出身のジェイムズ・ヴァレンタイン(ギター)である。この機会に前後して彼らはイメージ刷新のためにマルーンと改名、それはやがてマルーン5となった。