98年のデビューからずっと彼を〈孤高の天才シンガー・ソングライター〉として愛してきたが、期待は今回も裏切られなかった。故郷の滋賀に拠点を移して作られた2年ぶりの10作目は、シンプルなアコギとサンプラー、メロトロンの音源のみで作られた宅録ポップの傑作だ。初期ベックを思わせるサイケなスパイスの効いた音像に乗せ、捻くれた表現で人生の機微を鋭く描く歌詞が冴え渡る。やはり信じるに値する男だ。