CDデビューから1年半。その鋭利なセンスとスキル、カリスマティックな存在感を作品ごとに知らしめてきたシンガー・ソングライターが、満を持して初のフル・アルバムを発表する。starRoによるスタイリッシュなガラージ“Great Yard”、yahyelの面々がフューチャリスティックなビートを込めた“Can't Wait Anymore”、grooveman Spot製のアンビエント・ソウル“Conditional”など、間違いない顔ぶれが手掛けるアレンジは、いわゆる〈オルタナティヴR&B〉のタームに紐付けられるものが中心となっているが、そのエッジーなサウンドの手綱を握り、普遍的なポップ・ミュージックへ昇華する主役の歌唱に持っていかれる。とりわけ壮大なバラードの表題曲や、LUCKY TAPESの高橋海の手によるブギー“FLY”あたりが広いリスナー層に受け入れられそう。mabanuaやKan Sanoとのオーガニックなグルーヴ探求から感じ取れるポテンシャルも頼もしい。先鋭的でありながら王道の風格を自然に纏った、文句なしの一枚だ。