最近は堀込泰行さんの新譜に参加させていただいたりしました。tofubeatsです。いつもの自分が触らないような曲調のデモを堀込さんからいただき、腕まくりしつついつもとはちょっと違う感じのノリにしたく、歪ませたドラムなんかを久々に全編に渡って使ったりしてみました。そんなコラボ曲“THE FLY”も皆様にチェックしていただきたいのですが、ポップであり違和感があるものって本当に作るのが難しいんですよね。今回はそんな個性を兼ね備えた自由な〈魚〉を起点に、何度も聴きたくなる中毒性のある3枚をご紹介。

 

入江陽 FISH MARUTENN BOOKS(2017)

気持ち良さと違和感のバランスが毎度絶妙で素晴らしい入江さん。ヌケたサウンドかと思えば湿度のあるヴォーカル、聞いたことない組み合わせだけど気持ちの良い詞、とここでしか味わえない魅力は今回も健在。とはいいつつも全体的には作品を追うごとにどんどんスッキリした聴き口になっているような気もします。飲みやすいけど酔っ払うお酒のような……。今作は全曲ほとんど3分以内とポップ・アルバムとしてもめちゃくちゃ高精度。何度もループできる傑作です。

 

Minchanbaby たぶん絶対 粗悪興業(2017)

自分の『FANTASY CLUB』が〈YES、だけどNO〉な態度とすれば、〈たぶん〉かつ〈絶対〉なアルバムがこちら。いまや〈神戸の~〉という接頭詞が適切かはわかりませんがこの雰囲気こそ2017年。どこまで本当でどこからフィクションなんだ?と思いつつもグイグイ引き込まれるのは、やっぱりラップ自体の強度がありすぎるから。屋台骨となる粗悪ビーツ氏のトラックもバッチリです。

 

入江陽,粗悪ビーツ 激突!~愛のカーチェイス 粗悪興業/入江スタジオ(2015)

そんな2枚を繋ぐ7インチのコラボ作品がこちら。聴いた当時に思った〈いったいこれは何なんだ……〉という気持ちはいま聴いてもそのまま。トラップに入江さんのヴォーカルが絡みつく謎すぎるタイトル曲。このオケでどうやって歌うねん!というトラックでもガンガン歌い込める入江さんの真骨頂が超発揮されております。B面の“薄いサラミ”なんて、このトラックをポップに昇華できるからこそできる技。この両名じゃないと実現しないクォリティー。

 


tofubeats(トーフビーツ)
90年生まれ、神戸在住のトラックメイカー。藤井隆やNGT48、平井堅、RIP SLIME、SALU、「クラシカロイド」などを手掛けるほか、リリースされたばかりの堀込泰行のニューEP『GOOD VIBRATIONS』(コロムビア)では“THE FLY”のサウンド・プロデュースを担当しています。また、自身のアルバム『FANTASY CLUB』は12月20日にLPリリースを控えているのでそちらのチェックもお忘れなきよう。その他のさまざまな最新情報は〈tofubeats.persona.co/〉にて!