モダン・ジャズの黄金時代を駆け抜けた、稀代のフォトグラファーK.Abe
1950年代から、東京、アメリカで、変貌するジャズ・シーンを克明に記録し、時代を駆け抜けた男がいた。阿部克自、海外ではK.Abeの名で知られ、ジャズ史に名を刻む稀代のフォトグラファーである。2008年に世を去った阿部の、没後10年を迎える2018年の直前に、記念写真集「ジャズの肖像 ポートレイチャーズ」が出版され、その発売と同日の12月13日から、来年2月18日にかけて、リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pにて、記念写真展が開催される。1月17日で、展示が入れ替わりパートIIとなる、写真集未収録作品も阿部のオリジナル・プリントで展示される大回顧展で、阿部克自の全貌が初めて明らかになる。
写真集「ジャズの肖像 ポートレーチャーズ」を開くと、1986年にアメリカで発売されたデューク・エリントン(ピアノ)の記念切手の元の図案となった写真のような緊張感溢れるステージと、阿部と親しかったディジー・ガレスピー(トランペット)やソニー・ロリンズ(テナー・サックス)のリラックスしたプライヴェートの表情が、アルファベット順で繰り広げられる。1988年からニューヨークのジャズの現場で撮影を手がけていた筆者は、リヴィング・レジェンドと言われるアーティスト達と出会うと必ず「K.Abeは元気なのか?」と問われる。誰もが、阿部の写真のみならず、親しみやすくファンキーな人柄を慕っていた。1990年代半ばに舌癌を患い第一線から静かに身を引いた阿部だが、2005年に久しぶりにアメリカを訪れた。ジャズ界の重鎮が一堂に会するIAJE(国際ジャズ教育者協会)の年頭総会で、長年のジャズ界への写真での貢献が顕彰されるミルト・ヒントン賞に阿部が推挙されたのだ。多くの旧友たちに囲まれ、授賞式で映し出された写真にK.Abeの大きな足跡が再認識された瞬間だったそうだ。写真展開催中の12月16日にはフォトグラファー、中平穂積氏、1月19日には元プロデューサーの悠雅彦氏を迎え、阿部克自とその時代を語り、当時のジャズの核心へと迫る。
EXHIBITION INFORMATION
〈阿部克自 没後10周年記念写真展「ジャズの肖像 ポートレイチャーズ」〉
会期:
【パートI】12/13(水)~2018/1/14(日)
【パートII】2018/1/17(水)~2018/2/18(日)
会場:リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.P
休館日:火曜日
※年末年始は12/29(金)~1/3(水)まで休館
トークイベント開催決定!
定員30名 事前申込制
○2018/1/19(金)19:30~
出演者:悠雅彦(音楽評論家)、行方均(音楽評論家/プロデューサー)