米Apple社製スマート・スピーカー、HomePodのCMが話題になっています。というのも、なんとこのCM、スパイク・ジョーンズが監督し、FKAツイッグスが出演しているんです。

クール! 数々のミュージック・ビデオや映画「かいじゅうたちのいるところ」「her/世界でひとつの彼女」を監督したことで知られるスパイク・ジョーンズの美学や〈らしさ〉が詰まったユニークな映像表現と演出、そしてFKAツイッグスの見事なダンス(そもそも、彼女はダンサーですね)につい見惚れてしまいます。でも、これ、どうやって撮っているんでしょう?

くたびれた会社員を演じるFKAツイッグスが満員電車を降り、帰宅してHomePodに〈Hey, Siri. 私が好きそうな曲をかけて〉と話しかけます。すると流れ出すのは、アンダーソン・パークの新曲“Til It’s Over”。そう、このCMはスパイク・ジョーンズ、FKAツイッグス、アンダーソン・パークという3者のコラボレーションなんです。すごい!

ジョーンズとツイッグスがスマート・スピーカーのCMに携わるっていうのは、なんだかちょっとわかりやすいかもしれませんね。というのも、ジョーンズの「her/世界でひとつの彼女」は人工知能のOSと生身の人間との恋愛を描いた映画でしたし、ツイッグスはウェアラブル・コンピューターGoogle Glass(一般販売は中止になりましたけど)とのコラボ映像を作っていましたから。ジョーンズは未来的なヴィジョンを表現し、ツイッグスはそんなフューチャリスティックなイメージが投影されるアイコン、というわけですね。

それにしても、アンダーソン・パークの新曲、かっこいいですね。ジャジーでファンキーな『Malibu』での泥臭いサウンドから一転、ダンサブルで洗練されたプロダクションはジェフ・クラインマンとマイケル・ウゾウルによるもの。クラインマンはブロックハンプトンやケヴィン・アブストラクト、リトル・ドラゴン、レックス・オレンジ・カウンティらの楽曲で知られるプロデューサーで、ウゾウルはフランク・オーシャン、ヴィンス・ステイプルズ、アール・スウェットシャツなどとの制作経験があるオッド・フューチャー周辺の音楽家。つまり、現在のR&Bやラップ・ミュージックの最先端が聴けるサウンド、ということなんです。ちなみに、“Til It’s Over”はAppleのCMソングなのでSpotifyにはありません!