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Photo by Rob Walbers

レゲトン、エチオ・ジャズ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド……ヤング・ファーザーズから広がる音楽地図

近藤「『Cocoa Sugar』で天井さんがいちばん惹かれた曲はなんですか?」

天井「やっぱり“Turn”かな。さっき話したスーサイドやポスト・パンクの流れも踏まえて、個人的にいろいろと腑に落ちるところがあった曲なので」

近藤「“Turn”のリズムはレゲトンっぽいですよね。今年サマソニに出るJ・バルヴィンとか、いまレゲトンが注目されている流れを意識したのかも」

天井「エチオピアン・ジャズを感じる“Fee Fi”も良いんですよね」

『Cocoa Sugar』収録曲“Fee Fi”

近藤「エチオピアン・ジャズといえば、ヤング・ファーザーズはクラック・マガジンで公開したプレイリストにハイル・メルギア(Hailu Mergia)の曲を選んでましたね。このプレイリストがけっこう面白くて、なかでもトゥシェトゥシャ・ボーイズ(Tshetsha Boys)の“Nwampfundla”を選曲してるのが興味深かった。シャンガーン・エレクトロの人だから、やっぱり!って思ったのと、この曲はDJラシャドやDJスピンといったジューク系の人がリミックスしてた曲なんですよ。『Cocoa Sugar』には、ジュークのリズムを取り入れた“Wire”があるので、ここで繋がった!という驚きもありました。

ソー・ソリッド・クルー(So Solid Crew)というグライムに影響をあたえたUKガラージのグループも選曲していて、やっぱUKのベース・ミュージック・シーンも意識してるんだなと。もちろんスーサイドも選んでますし。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドもありましたね」

Spotifyプレイリスト〈Selections: Young Fathers〉

『Cocoa Sugar』収録曲“Wire”

天井「ヴェルヴェッツは何の曲でした?」

近藤「“All Tomorrow’s Parties”です」

天井「ベタですね(笑)。そのあたりのモータリックというか、淡々としたビートからするとクラウトロックというワードも入ってきそう」

近藤「クラウトロックはなかったですね」

天井「なかったんだ。でも、スーサイドもクラウトロックみたいなものだからね」