本当に良い曲とは誰が歌っても良いもんだし、例えば誰かがカラオケで歌ってるのを聴いてて好きになることだってある。でもトリビュート盤というのは、原曲の良さを再認識させてくれるのはもちろんのこと、その良さをどんな調理法で引き出しているかが重要であって、そんな風にいろんな調理法で作った料理が一度に味わえるから楽しいのではなかろうか。そういう意味では今作には、落ち着いてスペイシーな自身の現行モードも加味したねごとや、よりダークでメカニカルにアレンジしたピープル、あえて真っ向勝負に挑んだHump Backなど、よくあるトリビュート盤以上に本当にさまざまな方法で調理された楽曲たちが勢揃いしている。味付けだって、笑いあり、郷愁あり、感動あり、飛び道具あり……。中でもオーディションを勝ち抜いて今作に参加したペペッターズ、月の満ちかけによる2曲には、特に〈この世にはまだこんな調理法があったのか!〉と驚かされるばかり。どの曲も、ぜひ原曲と聴き比べて楽しみたい。