ORANGE RANGEのリーダーとしても知られるnaotohiroyamaRie fuによるユニット、delofamiliaが5枚目となるアルバム『Carry on Your Youth』を発表する。作詞はRie fu、サウンド・プロデュースはnaotohiroyamaという体制をベースに、二人の共作による“Brigitte”や、作曲もRie fuが担当した“WOW”など全9曲を収録。制作は、まずアルバムのサイズ感を設定するところから始まったのだとか。

delofamilia Carry on Your Youth SUPER((ECHO))LABEL(2014)

「屋根裏部屋から出てきたピンク・フロイドとかのアナログ・レコードを聴いて、レコードのヴォリュームっていいなと思って。ちゃんと音楽と向き合うのにちょうど良い長さを意識しました」(Rie fu)。

「聴き終えて、また最初から聴けるものを作りたかったんです。今回はインスト的なトラックが2曲あるんですけど、A面の終わりとB面の終わりにあたる位置に入れて。そういうレコードの構成がきれいかなと」(naotohiroyama)。

 ここ数年はバンド・サウンドとエレクトロニックな要素の融合を一貫して追求してきた彼らだが、本作でもそのスタンスは変わらない。生と打ち込みが混在するビートと優美なギター、鋭利な電子音などが絡み合うフリーフォームなアンサンブルを紡ぎつつ、親しみやすさも備えたポップ・ミュージックを絶妙なバランス感覚で展開している。強いて言えば、“Because Of Animals”に顕著なオルタナ寄りのバンド感が色濃いかもしれない。

「意図的にバンド感を押し出そうとはしてなくて、自然に出て来たものですかね。delofamiliaはあまり考えずに、とにかく自由に音を作る場なので。“Because Of Animals”に関してはソニック・ユースをイメージしました。彼らの鳴らす不協和音とかガレージっぽいところとか、はっきりしない混沌とした感じにずっと惹かれていて。僕は普通なら修正する部分をそのまま活かすことがあるんですけど、そういうところも彼らの影響かもしれない」(naotohiroyama)。

 後半には、70年代シンガー・ソングライター作品に通じる手触りのナンバー“Only One Thing”も登場。そのオーガニックアーシーな味わいも、近年のdelofamiliaが持つ大きな魅力のひとつだろう。

「オーガニックなニュアンスは大事にしていて、それによって自分たちでも予測できない変化が生まれるんじゃないかと思っているんです。“Only One Thing”はNAOTOさんに〈誰かの故郷というテーマにしたら〉と言われて歌詞を書きました。そうやってお題をもらったり、仮タイトルからイメージを膨らませたり、NAOTOさんの注文を無視して書いたり(笑)」(Rie fu)。

 さまざまなスタイルのサウンドが詰め込まれた作品だが、通底しているのはどこか翳りを帯びていてメランコリックな世界観。とは言え、決して陰鬱な表現ではない。ここには平熱の感情、素の表情に寄り添う心地良いトーンがあるし、それゆえに何度もリピートして聴きたくなるのだ。

「結局、こういう音楽が好きなんですよね。そこは自覚していて、ワーワー派手なものだけが僕の本質ではないんです。まあ、音の好みがこういうものってだけで、暗い人間ってわけではないと思いますけど(笑)」(naotohiroyama)。

「delofamiliaには一貫した暗いトーンがあって、いろんな感情を表現するタイプの音楽ではないと思うんですけど、今回は、その独特の振り幅のなかでどれだけ起伏に富んだ表現ができるかに挑戦しました。それは今後の課題でもあり、楽しみでもありますね」(Rie fu)。

 

▼関連作品

左から、delofamiliaの2013年作『archeologic』(SUPER((ECHO))LABEL)、ORANGE RANGEの2013年作『spark』(SUPER((ECHO))LABEL/スピードスター)、NaotoHiroki & Karatesystemsの2013年作『Travel Sounds』(ポニーキャニオン)、Rie fuの2013年作『Rie fu sings the Carpenters』(Rie fu)
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