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間口の広さと過剰さを合わせていくのが羊文学だと思ってます

――歌詞の一人称が曲によってけっこう変わりますよね。ここにもなにか意識していることがあるのでしょうか?

「単純に〈僕(ぼく)〉は2文字で発音もいい感じだから、〈私〉よりも入れやすいっていうのはあるかも。でも、やっぱり私自身の一人称は〈私〉だから、ちゃんとそういう曲も書きたいと思って。“涙の行方”とかはそうですね。それに私、男の子に負けたくないと思ったところからバンドを始めたようなところもあるので」

――なにかそういう気持ちにさせられる出来事があったのですか?

「中学生の頃、地元のバンプ・オブ・チキンが好きな男の子たちとバンドをやろうとなったときに、〈お前は女だからダメ〉と言われたんですよ。そのときに〈いつか絶対にこいつら見返してやる!〉と思ったんです(笑)。私にも男の子がやってるような音楽はやれるし、女とか男とか、関係ないじゃんって。

なので、私にはそういう男勝りなところもあるんですけど、一昨年くらいにCHARAさんの音楽を聴き始めて、〈こんなふうに女性らしさを前面にだせる人もいるんだな〉と思って。それで私もその時々で女らしさを出せるようにはなったのかな。でも、中学生の頃はなにも知らなかったから、〈そんなのぶち壊してやる!〉と思ってました(笑)」

――これからファースト・アルバムをリリースして、もうすぐ大学の卒業も控えている。きっといまの塩塚さんはいろんな節目を感じている時期だと思うんですが、これから自分の音楽はどんなふうに変わっていくと思いますか。

「具体的なことはまだ何もわからないけど、楽しんでいくことを忘れずにやっていきたいですね。今回だったらモーンとか、前作はペイヴメントとか、その時々の自分がハマってる音楽を受け止めながら、自分がやりたいことを正直にやっていきたいです。それこそ音楽は世界中にたくさんあるから、幅広くいろんなものを聴いていきたいし」

――プログレの複雑さに惹かれたり、大きな音を重んじていたり、塩塚さんにはどこかで音楽に過剰さを求めているところがありますよね。一方で、羊文学の楽曲にはポップスとしての間口の広さもある。そのバランスについては、どう考えていますか。

「その間口の広さと過剰さを合わせていくのが、羊文学だと思ってます。私個人としては、もっと変なことをやる局面があってもいいと思っていますけど、羊文学の曲に関しては、とにかくいろんな人に聴いてもらいたい。

それが〈こういう音楽があるんだ〉みたいな気づきになってくれたら嬉しいし、私が普段聴いているような国内外のおもしろいバンドに興味を持つきっかけになれたらいいなって。いまはそんなことを思いながらやってますね」

 


LIVE INFORMATION
1stアルバム『若者たちへ』リリース記念ワンマンライブ『“わたしたち”へ』

2018年8月20日(月) 東京・代官山UNIT
開場/開演:18:00/19:00
前売り:2,800円(ドリンク代別)
チケット:チケットぴあ(P:118-606)/ローソンチケット(L:76257)/e+
※小学生以下のご入場不可
お問い合わせ(SMASH):03-3444-6751/https://smash-jpn.com