(左から)Koong、ともまつりか、丹澤弘行

音楽の記事が中心のMikikiですが、作家や写真家、映像作家、漫画家、演劇関係者など関わってもらう方は多種多様。そこで、音楽関係以外の表現者のみなさんが好きな音楽は?という興味からスタートさせたのが連載〈My Favorite Songs〉です。毎回、1人の選曲者が設定したテーマと、それにもとづく3曲以上の選曲を記事化。〈あの人がこの音楽を好きだったんだ〉という発見や、音楽とほかのカルチャーのクロスオーバーを楽しんでもらえたら幸いです。第5回は、Mikikiでいつも撮影をしてもらっている写真家/映像作家のともまつりかさんが登場。(TT) pressとしてともに活動する丹澤弘行さん、タイ・バンコクのコミックアーティストであるKoongさんの3人で選曲してくれました。 *Mikiki編集部

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選曲によせて

(TT) pressは、ともまつと丹澤のふたりによるインディペンデントな出版ユニットです。東京・東中野でloneliness booksとともに〈platform3〉というオルタナティブスペースを運営し、アジア、クィア、フェミニズムのカルチャーにまつわる本を中心に取り扱っています。

Mikikiは、ともまつがフォトグラファーとして活動をはじめた頃からずっとお世話になっている媒体で、今回もそのご縁で連載にお声がけいただきました。いまわたし(ともまつ)が関心のあること、そしてこの機会に(TT) pressの活動も知ってもらいたい……ということで、〈(TT) pressのふたりが出会ったタイの曲〉というテーマを選びました。ともまつ、丹澤それぞれの思い出とともに、(TT) pressとしてバンコクのアートブックフェアに参加したり、タイの本を集めたりするなかで出会った音楽やエピソードを、少しだけ紹介します。

また、親交のあるバンコクのコミックアーティスト・Koongさんにも、お気に入りの曲を選んでもらいました。楽しんでもらえたらうれしいです。

 

ともまつりかの選曲

Phum Viphurit “Long Gone”
(2017年作『Manchild』収録曲)

8年前、このMVがおすすめに流れてきて、タイの音楽が気になり始めました。タイのカルチャーを追うようになったきっかけのひとつです。3年前には、バンコクで入江陽さんの“知ってる”という曲のMVを制作しましたが、〈グラウンドの観覧席〉や〈健康遊具〉などが出てくるのは、実はこのMVの影響です。

 

Lesssugär “stay away go!”
(2023年『internet teenage lover』収録曲)

Lesssugärは、昨年来日したときに取材で撮影させてもらって、好きになったバンドです。タイのウボン、チェンマイ、バンコクに拠点を持つメンバーが集まっていて、それぞれの地域の音楽文化が影響し合っているそう。と聞いても、正直、地域によってどんな違いがあるのか、どう影響し合っているのかというところまで、わたしはまだよく分かってないなと思います。タイのいろんな地域を訪れたり、そこで友人ができるたびに、知りたいことがどんどん増えていきます。

そしてドラムのJayは、昨年の11月に(TT) pressが参加したバンコクのブックフェア〈printPRINT〉にも遊びに来てくれました。本当にうれしかった!

 

丹澤弘行の選曲

quicksand bed feat. ‪aint lindy‬ “Genie”
(2024年作『After the First Wave』収録曲)

バンコクのフィルム屋で流れていた、やけに可愛げのあるバンド。MVも素敵で、何度も繰り返し観ています。旅行中はいつもより熱心にBGMに耳をすませて、気になる曲は逃さずShazamするようにしています。

 

Rap Against Dictatorship “คนที่ตัดสินใจคือฉันเอง”
(2023年)

友人のAndyが所属するグループ、Rap Against Dictatorship。タイの政治に対する彼らの鋭い批判に触れると、自分の中にもまた、権力を疑う視点があることに気づかされます。