左から、小田アヤネ(8月20日生)、早桜ニコ(2月4日生)、楓フウカ(11月10日生)、優雨ナコ(8月19日生)

 

2019年の飛躍を大いに予感させる最高のニュー・シングル!

 新レーベル・MUSIC@NOTE参加後、加速中のクマリデパートから早くもニュー・シングル“シャダーイクン”が到着。表題曲の“シャダーイクン”はグループのプロデュースを手掛けるサクライケンタとWiennersの玉屋2060%との完全共作で、超アッパーかつ複雑な展開を見せる、見事なまでにふたりの個性が溶け合った名曲にして怪曲に仕上がった。カップリング“セカイケイ”は作編曲に山下智輝を迎えたストレートなロック・ナンバー。躍進が期待されるクマリデパートの2019年は今作で幕を開ける。メンバー4人とサクライケンタを交えてインタヴューを行なった。

クマリデパート シャダーイクン MUSIC@ NOTE(2019)

 

アイドル!って感じになった

——MUSIC@NOTEから早くも2枚目のリリースとなりました。目に見えて活動ペースが上がりましたよね。

優雨ナコ「“あれ?ロマンチック”を出して、リリースイベントをバーっとやって、すぐに新しいCDを出せるようになって、またリリイベが始まって」

小田アヤネ「こんなスピードでやったことがなかったので、めっちゃ大変だけど楽しいです」

楓フウカ「先の予定がたくさんあってすごく充実してるなって思います」

サクライ「MUSIC@NOTEさんと一緒にやるというお話があってから、もうちょっと、ちゃんと気合い入れてやろうというところで。リリース・ペースに関しては次を早く出そうとか考えていたわけではなく、ワンマンに合わせてCDを出してっていう形なんですけどね」

——いまの4人編成になる前はリリースのタイミングはどう考えていたんですか?

サクライ「やりたいとき……ですね」

優雨「いま聴いて思ったんですけど、4人になる前は気合い入ってなかったのかな(笑)」

サクライ「いや、そういうわけでは……」

優雨「そういえば早桜と駅で泣いたことあったよね?」

早桜ニコ「ふたりでサクライさんに泣きながら電話したんですよ! 長電話しすぎて改札から出れなくなるくらいだったんですよ(笑)」

——改札の時間制限を超えるくらい話したんですね。

サクライ「でもあのとき、スピーカーフォンで真剣に喋ってくれたんだけど、駅だから周りに人がめっちゃいて、半分以上なに言ってるか聞き取れなくて」

優雨「うわ~」

——ひどい(笑)。それは3人時代の頃の話ですか?

優雨「はい。持ち曲が3曲しかないのでセトリがいつも同じで、来てくれる人がどんどん減っちゃっていて。こんなんじゃお客さん増えるわけないじゃんって切羽詰まりすぎて号泣して電話しました」

早桜「出演時間も早かったから、こんなの誰が来れるんだっていう」

——小学生のメンバーもいたし、早い時間にならざるを得ないですもんね。

サクライ「イベントに出てもどうしても早めの出番になってしまうので。いまの4人はそこは一応クリアしているので」

早桜「やっと自分たちの主催イベントでトリができるようになって。昔を考えると、めっちゃいい方向に変わってきた」

優雨「サクライさんと仲良くなりましたよね? 会う機会が増えて」

サクライ「グループの動きも加速したからこそ、メンバーと会うことも多くなって。制作、撮影、MVとかやることがあると、必然的にそうなっていきますよね」

早桜「それでこういう機会にいろいろ言えたり(笑)。いま、周りのアイドルさんが解散とかしちゃってるなか、これだけいろいろできるのは恵まれてるなって思います」

——ここ半年くらいでグループの雰囲気も変わったように感じます。

サクライ「4人になって最初のワンマンが夏にあって、その後のリリースがあったりしたなかで、僕から見ても急成長してるんじゃないかなと思っていて」

優雨「前は幼い子のグループみたいに言われてたけど、アイドル!って感じになったと思う」

早桜「前はエゴサしてもライヴの感想とかなかったしね。最近はパフォーマンスのことを言われるようになった。新メンバーが入ってからライヴに対する意識も変わったと思う」

「(早桜が)ライヴの動画をチェックして、誰々はここの振りがちょっとヘンとかをちゃんと言ってくれるんです」

——ベタですが、後輩の加入によってグループが成長したということですよね。

サクライ「それはあるかもしれないです。先輩が教えることによって栃木(楓)と小田も成長するじゃないですか。それに触発されて、先輩ふたりが負けたくないっていう気持ちになるっていういい流れができているんじゃないかなと思います」

 

プロデューサー サクライケンタ(11月10日生)

 

サクライさんが楽しく作ってる

——シングルの話に移ります。クマリデパートはもともと〈王道アイドル〉をテーマとしているじゃないですか。サクライさんは前作あたりから、ちょっと変わった、けれど突き抜けてポップなものを作ろうみたいな意識はあったのでしょうか?

サクライ「変なものを作ろうとは全然思ってないですね。前作の表題は僕が曲を書いて、大森靖子さんが詞を書いて、ARMさんに編曲をお願いして。今回だったらでんぱ組.incの曲とかを書いている玉屋さんと共作しているんですけど、ポピュラリティーのある、いまのアイドルソングを作ろうと思った結果、こうなったという感じです」

——その自然な感じでこんなにユニークなポップスができるというのがサクライさんらしいですね。メンバーの皆さんは“シャダーイクン”をもらってどう感じましたか?

「サクライさんが楽しく作ってるっていうのを聞いていたので、すごく楽しみにしていて」

小田「最初に聴かせてもらったときからいい~!と思いました」

早桜「私はでんぱ組.incさんが好きなので、玉屋さんに作っていただけると聞いて嬉しくて。イントロを聴いただけで、〈あっ! これは!〉って思いました」

——作詞/作曲/編曲がサクライさんと玉屋さんの共作ですが、どうやって進めていったのでしょうか?

サクライ「誰かと完全に共作するというのは初めてでした。玉屋さんと僕でLogicのセッションファイルをメールでやりとりして、入っているものを崩したり、新たなものを付け加えて、戻して……っていうのを6~7回くらい繰り返してできました。かなり自由にやれたんですけど、結果的によくまとまったなと」

早桜「歌詞もサクライさんなところと、サクライさんじゃないところが混ざってて」

サクライ「最初に玉屋さんが1番を書いてくれたんですけど、それを切り取って2番に回したり、明るい言葉にあえて暗い言葉をはめこんだりして。パズルみたいに作っていきました」

優雨「これはライヴでやるとすごい楽しいんですよ」

早桜「レッスンしてるときはキツかったんですけど、ライヴは一瞬で終わっちゃう」

「あと、クマリでは初めての変拍子だよね。6・6・7みたいな」

マネージャー「振り付けの先生が怒ってました(笑)」

——一方の“セカイケイ”はストレートなロック・ナンバーになりました。

サクライ「そうですね。いま流行ってる……WACKさんみたいな。こういうのよくあるよねっていうのが欲しくて」

——前作の“アンサー!!”と発想が一緒ですよね(笑)。〈“走れ!”が欲しい〉みたいな。

サクライ「そうですそうです。作ってくれた山下智輝さんはnanoCUNEのときから仲が良くて。もともとバンドの人でエモいメロディーが得意な方なので、そんな感じでお願いしますと。これこれっていうバッチリなのが上がってきました」

優雨「サビに行くところで湧く感じがアツいです。この曲は歌い出しがフウカのソロなんですけど、めちゃくちゃかっこいいんです」

サクライ「ロックっぽい曲に合う芯のある声だったりするので、いい感じに仕上がっていると思います」

「ライヴで歌うときはいつもめちゃ緊張するんですよ。まだ満足に歌えたことがないので、早くちゃんと歌えるようにならないと」

小田「ファンの方からは〈“シャダーイクン”とは全然違う感じだけど両方ともかっこいいね〉って言ってもらえます。私もわかるーって思う(笑)」

優雨「うん。クマリの曲は全部いいけど、このシングルは聴いてほしいって心から自信を持って言えるね」

 

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