Mikiki編集部のスタッフ4名が〈トキめいた邦楽ソング〉をレコメンドする週刊連載がスタートしました! 更新は毎週火曜(歌謡)日。数無制限でNEWな楽曲を中心に、ときには新着モノに限らず個人的ブームな楽曲も紹介します、というユルいスタンスでやらせていただきます。毎週チェックしてもらえると思いがけない出会いがあるかもしれません! *Mikiki編集部

 


【酒井優考】

ラブワンダーランド “ラズベリーサン”

本日休演の岩出拓十郎率いるレゲエ・バンド。いや、レゲエと聞いただけでこの文を読み飛ばさないで! 女性ヴォーカルで、レゲエというより、まるで白昼夢の中でキラキラと美しく輝く系のラヴァーズ・ロック。サイケっぽさも感じるし、細野晴臣とそれを経由した渋谷系の系譜もあるような気もするけど、全部関係ないかもしれないし、ゴチャゴチャ言う前にぜひこの圧倒的な気持ちよさを体感してみてほしいです。銭湯にいるみたいなリヴァーブの“フォーエバーヤングボーイ”も最高に気持ちいい。春が来る~。

 

【天野龍太郎】

Suchmos “In The Zoo”

中期ビートルズな“WATER”(7分弱)もすごかったけど、この新曲“In The Zoo”(8分強)はもっとすごい。絶妙な時期のピンク・フロイドみたいだし、そもそも彼らがこんなサイケデリック・ロックをやるなんて誰が想像しただろう? 〈いまのSuchmosは我が道を行っていてカッコイイ〉と言っている人がいたけれど、きっと新作『THE ANYMAL』はそんな感じになってるんだろうな。全然想像もつかないけど。いったいどうしちまったんだ、Suchmos。

 

Ovall “Stargazer”

映画「ハード・コア」の“なだらかな夜 feat. Gotch”があったとはいえ、この“Stargazer”がOvall再始動後初の新曲といっていいはず。Ovallらしさのひとつだったオーガニックさがフューチャリスティックなブギーに変貌していて、ものすごくフレッシュ。ブランドン・コールマンの去年のアルバムを思い出したけど、特に関係ないとのこと。でも、見えないところで共振している。

 

THE NOVEMBERS “BAD DREAM”

新作『ANGELS』から、すでに4曲目のシングル。4曲もシングルをカットしていることからは自信がうかがえるし、その試みは挑発的ですらある。最近、小林祐介さんが共感を語っていたとおり、彼らの〈化け方〉はホラーズに似ている。いや、それ以上の何かを感じる。ロック・ミュージックのデッドエンドのその先へ。

 

uami “ama”

諭吉佳作/menさんのようにiPhoneのGarageBandアプリで曲を作っているuamiさんの〈曲ができない歌〉。声の重ね方に〈いま〉を感じるニュー・ポップ。一方でuamiさんによる〈お笑いレリジョンユニット団体〉(?????)解体ザダン壊の音楽は、未来しか感じないエレクトロニック・アヴァン・ポップ。Orange Milkから作品を出してほしい。過去に従順な音楽なんて聴きたくない。

 

Utsuro Spark “レジデンス”

Local Visionsが3月25日(月)にコンピレーション『Oneironaut』をリリースする。そこからのMikikiエクスクルーシヴ・シングル、ということに捨てアカさんがしてくれたのがこのUtsuro Sparkの新曲。蒸気の向こう側できらめくJ-Popはまるでデジタルな桃源郷のバックグラウンド・ミュージックのよう。僕の友人たちは歌が入ってくるまでに1分20秒もの時間をかけていることに注目していた。

 

【田中亮太】

NUMB “Ninjas With Attitude”

配信は去年の夏にスタートしていた楽曲ですが、先週に7インチがリリースされたので。ハードコア・パンクの重鎮による約5年ぶりの新音源。1分30秒ちょっとと短い楽曲ながら、スロウダウンしたあとの終盤、1分過ぎでの転調に熟練の技を感じます。それまでうつむきながら頭を振っていたクラウドが、一気に顔を上げ拳を空に掲げたかのような昂揚感。7インチのB面に収録された“Neo Tokyo Olympics 2020”もタイトル通りのポリティカルさでカッコイイです。

 

NONA REEVES “今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER”

ノーナとライムス。宇多丸さんフィーチャーの“LOVE ALIVE”はありましたが、意外にもグループとしてコラボした音源は初なんですね! とはいえ親交の深さが周知されている2組だけに、その相性の良さは期待通り。ぶっといベースとタイトなドラム・ブレイク(ダ・チーチーチー込み)に身体を揺らさずにはいられないゴキゲンなディスコ・ラップです。終盤のブルーグラス風バンジョーの挿し込みはベックの“Sexx Laws”みたい。ベックが同曲を収録した『Midnite Vultures』(99年)のミュータントなファンクネスは、いま再評価されるべきだと思うので、その慧眼っぷりもさすがです。

 

【高見香那】

NORIKIYO “Walk Wit Me”

NORIKIYOの新作『平成エクスプレス』。田我流&MMM(stillichimiya)との“わ”、OMSBとの“春風”、ビデオもあがっているMACCHOとの“俺達の唄”などどの曲もいいのですが、ここではアンセミックなこの曲をピックアップします。去ってしまったペット(犬?)との日々を綴っているらしいこの曲、陽だまりのように穏やかなトラックも相まってペットと暮らしていない人も自分の大切なモノと重ねたりしてグッときてしまうと思います。淡々とした日常にあるあたりまえのようであたりまえじゃない幸せを歌う、という点で田我流とカイザーソゼの名曲“アレかも、、”を思い出したりもした。

 

鈴木雅之 “ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花”

小西康陽、冨田恵一、堀込高樹、西寺郷太などが参加のニュー・アルバム『Funky Flag』が楽しみだなと思っていたら、先行でこんな最高にアッパーな曲が発表されていました。あの登美丘高等学校ダンス部元キャプテン・伊原六花をお相手にマーチン氏がどこまでもダンディーに歌い上げる、恋の駆け引きがテーマのソウル歌謡です。ちなみにこの曲、1月より放送がスタートした「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」という漫画原作のアニメの主題歌で。Wikiであらすじをチェックしたら(↓)、めっちゃおもしろそうだったです……。

将来を期待されたエリートたちが集う名門校「秀知院学園」。その生徒会のメンバーである副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行はお互いに惹かれ合っているものの、高すぎるプライドが邪魔をして半年が経っても告白することが出来ない。素直になれない二人は、いつしか自分から告白することを「負け」と捉え、「いかにして相手に告白させるか」ばかりを考えるようになり、権謀術数の限りを尽くした“恋愛頭脳戦”を繰り広げる。但し、連載が進むうちに“恋愛頭脳戦”描写および展開は減っていき、極度のツンデレ同士のギャグ色の濃いラブコメとなっている。作者の赤坂も、「正直『天才たちの恋愛頭脳戦』の看板はそろそろ外すべきではないだろうか」と公言している。 *出典はこちら