柴田聡子
自身名義とコラボ、春を目前にしてフレッシュな創造性が開花した2作品が揃って到着!

柴田聡子 『がんばれ!メロディー』 Pヴァイン(2019)

 これは春の椿事というべきか。柴田聡子のふたつの新作が同タイミングで到着するのだ。まずは通算4作目の『がんばれ!メロディー』から。『いじわる全集』以来のセルフ・プロデュース作で目の当たりにするのは、超グルーヴィーでチャーミングな“結婚しました”など、個性的だけど美形のメロディーがしなやかなバンド演奏のうえでピチピチ元気に泳ぎまくる様子。きっと頭のなかで漂う匂いや色彩をサウンドに変換するコツを掴んだのだろう、と思しき自信に溢れた表情が随所で見られるが、この自由すぎるハジけっぷりはこれまで届かなかった層の耳もガッチリ掴む気がしてならない。

LANG LEE, 柴田聡子 『ランナウェイ』 スウィート・ドリームス・プレス(2019)

 痛快なオリジナル作品に続いて紹介するのは、盟友である韓国のアーティスト、イ・ランとのコラボ作『ランナウェイ』。特別な親密さが両者の創造力を刺激し、その結果ユニークな音の花畑が作り出されてしまったという奇蹟がここに。やっぱり椿事と言うしかないな。