ドラムスの吉田雄介が加わって初の全国流通盤となる5曲入りの新作。祭りの始まりを告げるような雄叫びとトライバルなリズムに痺れる冒頭曲“good morning”からして、新たなピークを迎えているのがわかる。声を含めて細密に構築するtricotらしいミニマル感はより凄みを増し、“大発明”では近頃息を潜めていた爆裂ファスト展開も聴かせるなど、とにかく刺激的! グルーヴが気持ち良すぎて曲の境目を見失う。
いきなり雄叫び&アフリカンなリズムから始まる“good morning”から曲間ゼロで繋がるのは、わざとモタるリズムがカッコいいみたいな風潮を軽く吹き飛ばすキラー・チューン“大発明”。この方たちは踊らせたいのかコケさせたいのか。さらにメロウで溶けるような“BUTTER”、ひとつのフレーズが次々と形を変えていく“リフレクション”、轟音がつんざき、また1曲目へと〈リピート〉したくなる“悪口”と、これまでのtricot像を踏襲しつつもそれを覆すような5曲が並ぶ。いやそもそもtricot像って何だっけ? 攻め続け、トガり続けるこのバンドはどこへ行くんだろう?