Mikiki編集部のスタッフ4名が〈トキめいた邦楽ソング〉をレコメンドする週刊連載、〈Mikikiの歌謡日!〉。更新は毎週火曜(歌謡)日、新着楽曲を軸にマイブームな音楽を紹介していきますので、毎週チェックしてもらえると思いがけない出会いがあるかもしれません。紹介した楽曲はSpotifyとYouTubeのプレイリストにまとめているので、併せてお楽しみください~。 *Mikiki編集部
【田中亮太】
OCHA∞ME “2019年のガールズカラー”
下北沢のナイトクラブで遊んでいた女性たちによって結成されたインディー・ポップ・バンド、OCHA∞MEがこれまでに発表してきたEP2作を配信スタート。あわせて『2019年のガールズカラー』から表題曲のMVを公開しました。はっちゃけた勢いのジャングリー・サウンドと煌びやかなソウル・ムードがミックスされていて、これぞ下北沢のサウンド。〈THREE〉や〈m.y.k.〉など歌詞に出てくる固有名詞も心ニクイです。何色でもない自分をパンキッシュにチアフルに肯定していくガール・ポップ。ピペッツ好きも聴きましょう。
Ursulakid “Night Swimming”
Roth Bart Baron三船くんのソロ名義での新曲は、穏やかなシンセが寄せては返すアンビエント。ポップとしての強度を高めているバンドの裏側で、エクスペリメンタルな音楽性に深く深く潜っているところが興味深いです。
THE FOREVER YOUNG “アイラビュベイビー”
福岡は久留米を拠点に活動しつつ、全国区のキッズたちから支持を得ている〈エバヤン〉。この曲は、彼らが9月11日(水)にリリースするアルバム『ビューティフルユース』からのリード・ナンバー。暑苦しいまでにド直球な歌詞には受け付けない人もいそうですが、裏表のない男臭さと無骨なビートはやっぱり〈めんたいロック〉のバンドなんですよねぇ。僕は好きです。
Hi,how are you “ブルーベリーガム”
金八先生のモノマネをするまでは、誰でもやれるとしても、ロゴをここまで似せてきたところが凄い。原田くん(と馬渕さんは)センスおばけ。
【高見香那】
The ManRay “Lemontea”
9月11日(水)にファースト・アルバム『Naked』をリリースするThe ManRay。以前紹介したように6か月連続シングル・リリース企画を3月から実施していて、↑のトレイラー映像で演奏されているのはその第3弾として5月に発表された“Lemontea”という曲。これを含めアルバムにはバンドの新境地である日本語詞の曲が多々収められているのですが、どれも抜群に良いんです。アサトさんの歌唱は日本語のほうが本領発揮されているような気がしています。ロックスター感が増すというか。ちなみにこの“Lemontea”とか、アルバムに“INU”って曲があったり(歌詞にはストゥージズのあの曲の一節があったり)と、ロック的なオマージュを勝手に感じたりも。リリース、楽しみです。
スカート “あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)”
最新アルバム『トワイライト』の冒頭に収録された、NegiccoのKaedeさん提供曲のセルフ・カヴァーのビデオが公開に。ああ澤部さんって本当にすごいソングライターなんだと改めて実感した、大好きな曲。
【酒井優考】
Gateballers “スーフィー”
レヴューをたくさん書いているんですが、まったく書けなくなってしまうことがあって。ひとつは、自分の趣味やその時の気分が作品とまったく合わない時。もうひとつは、その作品はすごいんだけどまったく説明できない時。Gateballersは後者でした。なので彼らをよく知る梶原笙(So Sorry,Hobo)という男にレヴューを頼んだら、すごくいい文章が返ってきて、依頼してよかったなと思いました。そういう、普通じゃ説明できない未知の魔力が灯った曲。
tricot “あふれる”
メジャーだからどうこう、インディーズだからどうこうとか言うつもりは毛頭ないんだけど(よくいませんか、そのどっちかばかり好きな人)、まさかtricotがメジャー・デビューするとは思ってもいませんでした。時代も自分たちも変革の時期に、〈向こう岸では新たな時代〉とか〈安全な場所などないのさ〉と歌えるのは、強い意志が出てるなって思います。
WOZNIAK “Clear”
そんなtricotのヒロヒロも声で参加してるWOZNIAKの新作より。宇宙みたいなカッコよさ。
笹川真生 "あたらしいからだ (Album Trailer)”
聴くと胸がヒリヒリします。
Banana Collection “Passing Busses (Full Album)”
ギターポップなのは間違いないんだけど、いまなのか昔なのか、若いのか若くないのか、近いのか遠いのか、カッコいいのかシャレオツなのかエモなのかそのどれでもないのか、なかなかこちらには掴ませてくれない音像で、それが何とも言えない魅力になってるのが新しい(あ、新しいから〈いま〉か)。って、えっ? フル・アルバムってアルバム全部公開しちゃってんの!?
ジオラマラジオ “『img』Teaser”
〈今週はこの5作〉と思って編集画面を閉じたらジオラマラジオから嬉しいニュースが。ライヴで何度も聴いた“orange”が進化してるし、MVだけ公開されてた“MAPLE”や“telephone card”もようやく音源が手に入るし、楽しみがひとつ増えたぞ! Mikikiでもインタヴューをやる予定! たぶん! やりましょう!
【天野龍太郎】
パソコン音楽クラブ “reiji no machi”
山口美央子さんの記事にもご協力いただいたパソコン音楽クラブ。彼らが9月4日(水)にリリースするセカンド・アルバム『Night Flow』から、“reiji no machi”のビデオが公開されました。今日、公開されてからしばらく経つと、Twitterのトレンドに入っていてびっくり。それはともかくとして、イノウエワラビをゲスト・ヴォーカリストに迎えたこの曲、本当にすばらしいです。これまででもっともポップで、もっともエモーショナルな、会心の一曲。なんだか潮目が変わりそうです。
んミィバンド “知らないパレード”
制作中? リリース間近? んミィバンド、初のアルバム『知らないパレード』の表題曲が公開されました。ライヴで何度も聴いた曲。なれど、ぼわっとした低音やギターの音がぐにゃっとベンドする、ストレンジ極まる音作りはかなりショッキングで、おそろしさすら感じます。アルバムがどんなことになっているのか、想像もできません。Strangeways, here we come...
んミィ “光景”
MARUTENN BOOKSのYouTubeから。DANGBOORU RECORDの中条さんが主催する〈tiny pop fes〉の開催を記念したコンピレーション・アルバム『tiny pop fes disc 1』というのが出るらしく、そこから突然この曲が公開されました。もともとは、んミィさんのSoundCloudでデモが聴けた曲だったと思います(たしか、“薬局”というインスト版もあったはず。ちがっていたらごめんなさい)。なんとも不思議な肌触りのエレヴェーター・ミュージック・イン・ブラジルというか……。そんなわけで、10月5日(土)は上野公園に集合です。
蛍光灯 “浮かぶ”
謎のシティ・ポップ作家、蛍光灯の新曲。拭い去りがたくヴェイパーウェイヴィーなムードが漂っていることに、なにか不穏なものを感じます。
Monkey in Yellow “World Is Simple (2019)”
3月に慕情tracksからアルバム『World Shrink Within a Blink』をリリースしたばかりのMonkey in Yellowが、新たなプロジェクト『Tin Pan Chimpanzee』に取り掛かっているとのこと。これはそこから発表された新曲です。ちょっとAC/DC“Back In Black”っぽいソリッドなギター・リフが鳴るヴァースから、エレファント6っぽいビートルズ&ビーチ・ボーイズ解釈が展開するサビへ。超気持ちいい、ナイス・ベッドルーム・ロックです。
内田真礼 “あの人に会いたい”
10月2日(水)にリリースされる声優/シンガー・内田真礼さんの新作『you are here』から。作詞作曲はもとより編曲まで、すべてサニーデイ・サービスの曽我部恵一さんが手掛けています。曽我部さんが歌っているのが想像できるような切なくて甘酸っぱいメロディーはさすが、なのですが、さわやかでドリーミーなプロダクションがちょっとサニーデイの『DANCE TO YOU』(2016年)っぽくて、余計ぐっときます。
Pot-pourri “Kankitsu”
HEADZの新人・Pot-pourri。以前からその名前は知っていたけれど、音を聴いたのは初めて。びっくりしました。みずから〈アブストラクト・ポストパンク〉と称するそのエクスペリメンタル・ロック・サウンドからは、Corneliusにも似た音の配置や編集への意志が表れています。一方、Sawawoの歌にはhyde(L'Arc〜en〜Ciel)~小林祐介(THE NOVEMBERS)的なところがあって、そのアンバランスな感じ、違和にはただならぬものが。
Tohji “Snowboarding”
Tohjiのファースト・ミックステープ『angel』から。これは映像がめちゃくちゃかっこいいんです。かなり90sリヴァイヴァルを感じます。ビデオの監督は『angel』のカヴァー・アートを手掛けたロシアのアート・ディレクター、アントン・レヴァ。インダストリアル・トラップ、とでもいうべきビートとラップも最高。出てくる音はまったくちがっていますが、90年代のナイン・インチ・ネイルズを感じます。
Ryugo Ishida “Stacks”
ゆるふわギャングでも活躍するRyugo Ishidaのミックステープ『TAPE TAPE』から。プロデュースはAutomaticなので、鉄壁の布陣で作られたパーティー賛歌です。YouTubeのコメント欄に〈ロールスロイスでレンコン畑走ってんのやばすぎんだろ〉というツッコミがあって笑っちゃいました。ビデオの撮影地はやっぱり地元の茨城・土浦なんでしょうか。ヤンキー的センスがヒップホップの美学とストレートに結びついているのがいいな、と思います。
dodo “im”
dodo、3週間ぶりの新曲が出ました。今回は過去の恋愛についての、ちょっと苦さを感じるリリック。〈うれしくてうれしくて/笑わせたくて失言〉といった超自然体な詞に、またぐっときます。
BIM “Veranda”
昨年の夏にファースト・アルバム『The Beam』をリリースしたTHE OTOGIBANASHI'S/CreativeDrugStoreのBIMが新曲を発表。プロデュースは、あのSTUTSです。ボサノヴァ・ギターと太いホーンの音が印象的で、メロウな夏の終わりの一曲、といった感じ。〈ウォーターボーイズのような青春じゃない〉。
pool$ide “ULTRA ACTION WATER”
昨年、Local Visionsからアルバム『aquarius』を発表したことも記憶に新しいpool$ideさんの新曲。〈jersey club〉タグがついています。最近のジャージー・クラブといえばEDM化がめちゃくちゃ進んでいるわけですから、〈こういうチルでリラクシンなジャージー・クラブもありなんだ!〉と意外に思いながら聴きました。