©WY productions – SND – Cinéfrance 1888 – Herodiade – Umedia

フランスが世界に誇るデザイナー、イヴ・サンローランの名声と、その人生の光と闇を、若かりし頃のサンローランに生き写しと評判高い、ピエール・ニネが熱演!

――伝説的なデザイナーとして有名なイヴ・サンローランを演じることに、恐れや不安はありませんでしたか。

 「いや、それよりもまずとても幸運だと思ったよ。僕が映画のキャリアをスタートしてからたった5、6年ぐらいでこんな大役をもらえるなんてね。これほど複雑で豊かで、そして激しいキャラクターというのも珍しい。もちろん、脚本のレベルや監督の求めるものについていくために、必死で努力したつもりだ。でもとにかく、この役を演じられることは喜びだったし、幸運だけを考えて不安は持たないように務めた。それが仕事をやるときの僕の方針でもあるんだ」

――この映画を観た多くの観客が、外見の類似だけではなくサンローランのエッセンスを汲んだあなたの素晴らしい演技に感銘を受けると思いますが、役作りはどのようにしたのでしょうか。

 「幸い準備期間は5ヶ月ほどあったから、本を読んだり映像資料を観たり、ブルドーザーのようになんでも吸収して可能な限り頭のなかをサンローラン漬けにしたんだ。もちろん、ピエール・ベルジェをはじめ彼と親しかった人たちに会って、話しを聞いたりもしたよ。そこで僕なりに彼の人物像をイメージした。映画はサンローランの若い頃に始まって、彼がデザイナーとして成功した後までを描くから、その変化も表現するように心がけた。それからデッサンとスタイリングと身体作りのためにそれぞれ3人のコーチについて学び、振る舞いや声や喋り方も作り込んでいった。でもその一方で、3ヶ月の撮影のあいだに自分でも予期していなかったような、身体的に自分のコントロールを超えたところから滲み出てくるサンローランっぽさのようなものがあって、それはむしろ喜びだったよ。自分が正しい方向に向かっていると感じることができたから」

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――もしいまでも彼が生きていたら、いろいろなことを話し合いたかったと思いますか。

 「でも答えてもらえたかどうかはわからないね(笑)。彼はとても内向的な人だったし、心を開いてくれるかどうかは彼次第だっただろう。今回僕は自分で想像上の答えを考えた。彼をよく知るピエール・ベルジェやベティ・カトルーといった人たちから話を聞くことができたおかげで、たぶんそれほど遠くない答えを得られたのではないかと思う。とにかくそれによって僕は、可能な限り彼の真実に近づこうとした。もちろん、今となっては本人にそれを確かめることはできないけれど」

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――サンローランは自身の内側にある苦悩をクリエイティブなエネルギーに転化していきました。そんな彼のあり方をどう思いますか。あなたにも彼とどこか似ているところがあると思いますか。

 「似ているところはとても少ないと思う。すごく早い時期から仕事を始めたということと、自分のやりたいことがわかっていたという点をのぞいてはね。彼の場合はデッサンとファッションのクリエーション、僕の場合は演技だった。それぞれの道において早熟だったという点では共通しているけれど、それを除いてはあまり似ているところはないと思う。僕がとても感銘を受けたのは彼の苦悩、その人一倍の脆さと、それゆえの並外れた苦悩だ。そして君も指摘するようにそれをつねにポジティブでクリエイティブで革新的なことに昇華したという点。そうしてファッションの歴史に残る素晴らしい作品を生み出したことだ。それはとても美しいと思う。この映画を観た人がそういうことを感じてくれたらうれしい。それこそがこの映画のテーマのひとつでもあるからね」

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――この作品をやる以前は、イヴ・サンローランやファッションの世界に興味はありましたか。またこの映画の体験によって、ファッション業界に対する見方が変わった点などはありますか。

 「この映画をやる以前は、イヴ・サンローランが誰かということや、たとえば彼のシルエットやあの眼鏡をかけたイメージ、完璧主義であることなどは知っていたけれど、それ以上詳しくは知らなかった。ファッション全般のこともそれほど知らなかったから、YSLという頭文字についてもずっと服のサイズのことかと思っていたんだ(笑)。でも5ヶ月の準備期間のなかでいろいろなことを吸収するうちに、好奇心を掻き立てられたよ。洋服の作り方やそこにどんな才能が必要とされるかということ、ファッション界の有名な人物、たとえばクリストバル・バレンシアガやココ・シャネル、現在サンローランのブランドを手掛けているエディ・スリマンといったデザイナーについて興味を持つようになった。彼らのような伝説をまとった人々、いかに彼らがファッションの世界のなかでそのレジェンドを作り上げていったか、ファッション史に審美的にどんなインパクトをもたらしたかということについて知りたいと思うようになった。とくにオートクチュールの世界に関して、より知識や好奇心を持つきっかけになったよ。オートクチュールを創造するために掛かる時間、その忍耐力、必要とされる才能、そのストレスといったものについて、感銘を受けずにはいられない」

 


MOVIE INFORMATION
映画「イヴ・サンローラン」

イヴ・サンローラン財団 初公認作品
2014年 ベルリン国際映画祭 パノラマ部門 オープニング作品

本国フランス公開で、初登場ナンバー1!!
話題騒然の新星ピエール・ニネ主演!!
時代を変えた、伝説の天才ファッションデザイナー、イヴ・サンローランの華麗なるキャリアを築いた人生の〈喝采と孤独〉――

監督:ジャリル・レスペール
出演:ピエール・ニネ/ギョーム・ガリエンヌ/シャルロット・ルボン/ローラ・スメット/ニコライ・キンスキー 他
配給:KADOKAWA
(2014年 フランス 106分) ※PG-12
2014年9月6日(土)より、角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネマライズほか全国ロードショー!
http://ysl-movie.jp/

 

INFORMATION
intoxicate presents 特別試写会
映画イヴ・サンローラン」特別試写会に25組50名様をご招待!
2014年8月28日(火)角川映画試写室
開場/開映:18:00/18:30
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