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オルタナもエレクトロニカも両方がルーツ

イントロダクションに書いたように、彼の音楽からはさまざまなジャンルの断片が聴こえてくる。だからまず疑問に思うのは、彼のルーツはどこにあるのだろう、ということ。〈あなたの音楽を聴いていると、エリオット・スミスとエイフェックス・ツインとフォー・テットの音楽が同時に鳴っているように感じます〉という素朴な感想を伝えてみると、アレックス・Gはこう答えた。

「すごいな。僕は若い頃、彼らの音楽ばかり聴いていたよ。昔はエリオット・スミスをずっと聴いていたし、エイフェックス・ツインもずっと聴いていた。フォー・テットはあまり聴いていなかったけど、ザ・ナイフはすごく好きで。あと、モデスト・マウスも若い頃によく聴いていたんだ。この4アーティストは、いまの僕に影響を与えていると思う」。

ということは、やはり90年代後半から2000年代のオルタナティヴ・ロックとテクノやエレクトロニカを同時に聴いていた経験があるからこそ、現在のアレックス・Gの音楽が生まれているのだろう(Monchicon!によるインタヴューでは、ボーズ・オブ・カナダの名前も挙げている)。〈ジャンルは死んだ〉〈ポスト・ジャンルの時代〉とも言われる昨今、アレックス・Gの音楽もまた、ものすごく現代的な音だと感じる。

『House Of Sugar』収録曲“Southern Sky”

 

フィラデルフィアの音楽家として

もう少し詳しく彼の出自を見てみよう。本名アレクサンダー・ジアナスコーリ(Alexander Giannascoli)。93年生まれの、現在25歳か26歳。アメリカのペンシルベニア州ハヴァータウン出身で、いまは同州フィラデルフィアが拠点。同地とアレックス・Gの音楽には関係があるのだろうか?

「ハヴァータウンは典型的な郊外の町だよ。フィラデルフィアから電車で20分くらいのところにある。若い頃から友だちとフィラデルフィアに行って、ライヴ会場や知り合いのパーティーで演奏していた。フィラデルフィアは僕の音楽に影響していると思う。いつでもどこかで音楽を演奏する機会があったからね」。

フィラデルフィアはスティーヴ・ガン、カート・ヴァイル、ウォー・オン・ドラッグスといった、フォークやアメリカーナとの接点を感じさせるインディー・ロック・ミュージシャンたちを輩出している。そこにアレックス・Gの音楽との関連性を見い出すこともできるだろう。