日本一売れている映画雑誌「映画秘宝」が、1月21日発売の3月号をもって休刊します。以下の文章は、「映画秘宝」のいち読者の思い出をただただ書き連ねたものであることをお許し願いたい。
1996年夏、高校2年生だった自分は「映画秘宝」創刊前の名著「悪趣味洋画劇場」(94年)と出会ったことでそれまでの価値観が崩壊。堂々と「燃えよドラゴン」(73年)や「ゾンビ」(78年)や「食人族」(80年)が最高!と言っていいんだ!と、「映画秘宝」に自信と勇気をもらい、その後はまわりの友人を〈秘宝ガイズ〉にすべく、「デス・レース2000年」(75年)や「人喰族」(84年)のビデオを(半ば強引に)鑑賞させていました。相手のことを考えるとまったくもって迷惑な話で、彼らが今でも友情を続けてくれていることは感謝の念に堪えません。
また、「ワイルド・パーティー」(70年)、「直撃地獄拳 大逆転」(74年)、「太陽を盗んだ男」(79年)、「エド・ウッド」(94年)、「ブギーナイツ」(97年)など自分にとって〈オールタイム級〉に好きな作品と出会わせてくれたのも「映画秘宝」でした。
さらに、ことあるごとにブルース・リーの勇姿を拝ませてくれた「映画秘宝」。ムック時代の名作「ブルース・リーと101匹ドラゴン大行進!」(96年)のあとがき的なページでの、編集部に降臨したリー師匠の言葉に涙したのは言うまでもありません。嘘ですけど。
忘れられないのは、〈映画秘宝まつり〉をはじめとした上映イベントの数々。常に〈らしい〉映画をセレクトして、集まった〈秘宝ガイズ〉たちを喜ばせてくれましたが、2015年に開催された〈映画秘宝20周年記念まつり〉は狂っていた。当日は、イーライ・ロス監督による食人映画「グリーン・インフェルノ」のジャパン・プレミアで、開演前から会場中の熱気はプンプン。それもそのはず、危なっかしいデザインのTシャツを着た観客たちの上では、「燃えよドラゴン」「ゾンビ」の音楽が開場BGMとして流れているという状況。本編が始まり、劇中で阿鼻叫喚の惨劇の数々が映し出されると場内は爆笑の嵐! いろんな劇場体験をしてきましたが、あれは思い出深いなぁ……。
今この段階では、休刊号は読めていないので、「映画秘宝」が25年の歴史にどんな終止符を打ったのかはわかりません。楽しみ半分、寂しさ半分。こんな気持ちで「映画秘宝」を読む日が来るとは。でも、〈バカヤロウまだ始まっちゃいねえよ〉〈でも、やるんだよ!〉という、北野武&根本敬イズムは燃え尽きていないようなので、次の展開に期待しつつ、とりあえずはお疲れ様でした!ということでしょうか。ありがとう「映画秘宝」。