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インタビュー

NakamuraEmi『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2』 新たなベスト盤が伝える、唯一無二なシンガー・ソングライターの本質

NakamuraEmi『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2』 新たなベスト盤が伝える、唯一無二なシンガー・ソングライターの本質

丹念に磨き上げた無我夢中をパッケージし、確かな足跡と生粋のメッセージを刻んだ新たなベスト盤が伝える、唯一無二なシンガー・ソングライターの本質とは?

人のおかげで出来た〈BEST〉

 ぶれんじゃねーぞ ぶれんじゃねーぞ——“メジャーデビュー”の中で、自分を鼓舞するように叫んでいた女性は、あれから4つ歳を重ね、3枚のアルバムを作り、精力的にライヴをこなし、日本中に熱烈なファンを増やしてきた。NakamuraEmiは、あの頃よりさらに唯一無二なシンガー・ソングライターとして、多くの人の心に突き刺さる存在となって、ここに立っている。

 「“メジャーデビュー”は、いま私がいる場所は、それまで想像していたメジャーという世界とは全然違うとてもあたたかいところでした、という曲なんですけど、それがどんどん深まっている感じですね。聴いてくれる人はもちろん、スタッフの方も、メディアの方も、どんどん仲間が増えていってる。この曲を書いたときに感じた思いは、4年後も変わらないし、もっと深まったと思います」。

NakamuraEmi NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2 コロムビア(2020)

 その“メジャーデビュー”をはじめ、4年間の軌跡を辿るシングル曲、アルバム中の代表曲に新曲、再録音曲を加えて今回リリースされるのが、『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2』だ。彼女がメジャー・デビューを飾ったアルバムは『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』(2016年)だったが、インディーズ期の集大成だった同作と比べ、〈BEST〉という言葉が意味するものがいまは違う。

 「デビューしたときの〈BEST〉はそれまでの曲を集めたもので、〈ベストを尽くしました〉という意味だったんですけど、今回はタイアップをいただいたり、いろんな人に関わってもらったり、人のおかげで出来た〈BEST〉だなと実感してます。一曲一曲〈このときはこういう自分だった〉というテーマがあって、毎回出し切っていたと思うし、次に何を書くことがあるんだろう?と毎回思いながらやってきたなかで、〈BESTを作ろうよ〉と言ってもらったのはすごく嬉しかったですね。聴き返すと、自分の生き様が見えてきて不思議な気がします。自伝を読んでいるような感じです」。

 注目の新曲は3曲。4年分のリスナーへの感謝をストレートに綴る“BEST”も、子ども虐待防止のオレンジリボン運動に賛同するメッセージを、人と人との日常のふれあいのなかに描く“ふふ”も、彼女らしい率直な表現と説得力溢れる歌が胸を打つ。そして“東京タワー”は、不安とネガティヴの中に沈む心を労り、ひと筋の光を探すパワーに満ちた特別な一曲だ。

 「去年の9月頃、曲が全然出来なかったんですよ。作ってはいたんですけど、どの曲もプロデューサーに響かなくて、負のループにどんどんハマっていった。その日も、出した曲が通らなくて、〈またダメか……〉という帰り道に、とっさに思いついたのが東京タワーだったんです。きれいな夜景を見たかったんですけど、そこでも結局何かをメモしてるんですよね。自分でも引くんですけど、結局諦めてないし、がんばって書くしかないという答えが出てる。その時思ったことを曲にして、これもダメかな……と思って聴かせたら、〈めっちゃいい!〉と即答してくれて、プロデューサーってすごいなと思いました。いろんなことを見抜かれていて、〈あと一歩がんばれよ〉ということだったんだと思います。この曲で言っていることは、〈がんばろう〉でもないし、〈やめちゃおう〉でもないし、きれいな夜景を見て、家に帰って寝て、また次の日を迎えていくということ。それが東京タワーじゃなくても、みんなにとって、ここに行けばきれいな景色が見られるとか、それぞれの逃げ道を作って、少しでも前に進もうとしている人と寄り添えたらいいな、答えは出てないけどね、という曲です」。

 

ちょっと大人になった自分

 “Don't”(アニメ「笑ゥせぇるすまんNEW」オープニング曲)、“ばけもの”(ドラマ「ミストレス~女たちの秘密~」主題歌)など、耳馴染みのあるシングル曲以外にも、アルバムの中のいわゆる隠れ名曲もしっかり入っている。『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6』(2019年)に入っていた“甘っちょろい私が目に染みて”もそのひとつで、女性が強く生きるための歌を歌い続けてきた彼女が、自分のなかのやわらかい少女性をそっと抱きしめるような、愛らしい曲だ。

 「以前に勤めていた職場も男性ばかりだったので、弱い自分をどうにか強くしたい、男性みたいな生き方をしてみたいという憧れがあったんですけど、やっぱり〈あー、私は女の子なんだな〉と思うことが多々あって。それすらも受け止めてくれるお客さんの存在が後押しになって、男みたいにがんばろう!というよりも〈女でいいじゃん〉みたいに変わってきたんですね。こんな自分の歌を聴きに来てくれる人たちに、強い自分を叩きつけるよりも、〈大丈夫だよ〉と言うことが私にとっても大事だし、それができない女性が私のライヴに来てくれてるのかな?とも思うので。これを聴いて〈あー、そうか〉ってなってもらえたら嬉しいです」。

 再録音曲の“チクッ”にも触れておこう。これはインディー時代の『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.3』(2015年)に入っていた曲の、リズムをダンサブルにチューンナップし、ストリングスを加えたニュー・ヴァージョン。〈甘い話には裏がある〉と思い込んでいた5年前の彼女は、いまこの曲をとても軽やかに歌うことができる。

 「〈この曲が好きです〉と言ってくれる人がすごくいて、いつか再録音したいと思っていました。昔は小さい部屋の中で歌っている感じだったのが、いまの自分が歌うと、こういう思いもあったけど〈でも大丈夫だよ〉と言える気持ちが出てきましたね。あの頃はいろんなものを疑っていたけど、いまは素直に、この環境をもらえているのはすごくハッピーなことだなって、噛みしめられるようになったので。ちょっと大人になった自分がここにいると思います」。

 新進シンガー・ソングライターのみゆなが、熱烈なファンであることを公言したり、その影響力は下の世代にも着実に浸透中。3月からは、アコースティックとバンド編成に分けた大規模なツアーも始まる。〈BEST〉の意味を書き換え、自己ベストを塗り替えながら彼女は進む。

 「まだデビュー4年で、先輩たちを追いかける立場だけど、若い子に追いつかれないように突き進まなきゃいけないと思うし、いつかはきっと抜かれるときが来るんですけど(笑)。若い方たちからも刺激を受けながら、凝り固まらずにやっていこうと思います。大人になっても苦しいことはいっぱいあるけど、それが曲になることで誰かの背中を押すことがあるんだなという実感を、いますごく感じているので、またがんばろうと思いますね」。

 

NakamuraEmiのメジャー以降の作品を一部紹介。

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