毎週火曜(歌謡)日に更新中の、Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯による、最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今週は第52回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部
【田中亮太】
Ropes “TONIGHT”
アチコさん&戸高賢史さんによるデュオが久しぶりに新曲をリリースしました。小さな部屋のなか、聴き手の間近で2人が演奏しているかのような、生々しく親密な音。荒んだ心が少しずつ潤いと温もりを取り戻していく。
Hadj Sameer invite OG Militant B - 03 Mars 2020
Rinse Franceで放送しているHadj Sameerのプログラムに東京のDJ、OGさんが登場。レゲエをベースに、ジャングルからイーヴン・キックのダンス・ミュージックまでしなやかにミックスしていく彼ならではの、妖しい色香が漂うセット。めちゃくちゃセクシーです。真夜中に誰かと出会えたり話せたり踊れたりする場所、どんなときにだって必要ですよね。
【小峯崇嗣】
zzz “出港まで”
東京を拠点に活動する宅録アーティスト、zzzの先週の3月4日にリリースされた新曲。優しく包み込むような温かいサウンドと、ノスタルジーに浸れるベッドルームポップソングです。彼の作り出す中毒性たっぷりのメロディーがたまらないですね。
【酒井優考】
SuiseiNoboAz “3020”
2020年はまだ1/6しか終わってないけど、どうやらこのままでは辛く暗いご時世になりそう。目先の問題は山積みだけど、じゃあ1000年後の未来はどんな世の中になっているのかな。この音楽やこの文章は残っているのかな。2020年のことは教科書に載ってるのかな。そもそも人類は生きているのかな。そんな想いを馳せるような曲でした。ロックンロールは逆回転の力。この曲は本日配信で、この曲の別ヴァージョンを含む7インチは4月18日(土)リリース。MikikiではSuiseiNoboAzを特集予定です。
【天野龍太郎】
釈迦坊主 “Shinjuku”
とにかくもの勢いで突き進んでいる釈迦坊主。もはや誰も釈迦坊主のことを止められない。そんな彼が3曲からなるニューEP『DRAGON』をリリースしました。なかでもいいのが“Shinjuku”。EP全編のリリック・ビデオとともに、ぜひ。
マーライオン “ばらアイス (BAND ver.)”
マーライオンが3か月連続でシングルをリリース。その第1弾は“ばらアイス”のバンドによる再録。原曲の良さがアンプリファイされています。ここ2年ほどのマーライオンの歌の深化には目を見張るものがあって、これから発表される2曲やアルバムがとても楽しみです。
Babi『植物組曲』
先週はちょっと急いでいて書き漏らしたものがあったので、ここ数週間のニュー・リリースも紹介させてください。
Babiさんの待望の新作は小曲+フィールド・レコーディングの異色作。生命の静かな躍動がそのまま音楽になっているかのようで、素晴らしい。組曲なので、これは14曲で1曲だと思います。
入江陽 “充電器[没 a.k.a NGS (Dos Monos) Remix]”
入江陽さんの“充電器”をDos Monosの没くんがリミックス。かっこよすぎ! ソウルフルなヴォーカル・サンプルとピアノのループが印象的なブーンバップから、いきなり急展開していくビートにくらくら。
石原洋 “formula”
石原洋さんの新作『formula』。ぼんやりしているので、いつものようにレコードは買い逃してしまいました。CDをようやく買って、最近よく聴いています。全2曲、約42分間、現実と虚構の隙間を縫うようなトリップができるとんでもない作品です。こちらのビデオは抜粋版のトレイラー。全編はモノを手に入れて聴きましょう。
Tempalay “大東京万博”
楽曲そのものは、バンドのこれまでの作品と比べても屈指の素晴らしさ。スウィートで幻想的、あやしく奇妙にねじくれたオリエンタリズム……。昨年のインタビュー記事も、この機会に読んでみてください。
どろうみ「【 親のない星が手の中で 】トレーラー動画」
セキモトタカフミ(ヴォーカル/ギター)、にこげ(ヴォーカル/パーカッション/キーボード)、鈴木将太(ピアノ/アコーディオン)、しおり(チェロ)の4人からなる音楽隊、どろうみ。彼らが先日リリースした『親のない星が手の中で』は、現カルテット編成として初のフル・アルバム。
どろうみを知ったきっかけは、セキモトさんがんミィバンドのメンバーとして活動されていること。なのでこれまでのバンドの歩みは知らないのですが、どろうみの演奏をSoundCloudやYouTubeで初めて聴いたとき、その歌と楽曲そのものの強さにかなり驚かされました。その後、ライブを観たのは昨年9月のイベント〈FUTURE FOLK POETRY〉で。イベント・タイトルのとおり、どろうみの音楽は確かに新しいフォークの手触りやざわめきを伝えています。
タワーレコードでの取り扱いを含む『親のない星が手の中で』の流通は4月4日(土)から(オフィシャル通販やライブ会場では、すでに販売中)。私はまだ聴けていないので、今度ライブを観に行ったときに購入させていただきます!