毎週火曜(歌謡)日に更新中の、Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯による、最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今週は第53回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

Spotifyプレイリスト
 

【天野龍太郎】

Moment Joon “TENO HIRA”

ビデオ自体はちょっと前に出たものですが、超話題のアルバム『Passport & Garcon』がリリースされたので、この機会に紹介します。

この国に蔓延するシニシズムを撃つ、〈でも実際の君はかなりシニカル〉というライン。〈そして日本の常識を変えるとこまで上がろうよ〉。ほんと、そうだよね。韓国ルーツで〈移民〉を自認するモーメントの言葉、その一言一句にいまこそ耳を傾けよう。この島国をリブートするための一曲。

 

なみちえ feat. まな “Y◯U は何しに日本へ?”

こちらも旧弊でお仕着せなニッポン観をリブートするかもしれない一曲。CD-Rでリリースされたアルバム『毎日来日』が、ついに配信でも聴けるようになりました。〈苗字は田村〉のなみちえがラップする、〈見た目ガイジンの物語〉。〈ちゃんと言いたいこと言うヒップホップで〉。ワクワクするような〈J-Pop〉の最前線がここに。

 

Dos Monos “Rojo”

開口一番、ロスコからマゾッホ、サド、ベラスケス、(フランシス・)ベーコンまでが飛び出す荘子itのラインにしびれる。どこまでいくんだ、Dos Monos。

 

Shin Sakiura feat. Kan Sano “ほんとは”

Kuroちゃんの傑作『JUST SAYING HI』で重要な役割を果たすなど、さまざまな作品、さまざまなアーティストのライブで活躍中のShin Sakiura。彼の新曲は、Kan Sanoをフィーチャーしたメロウでスウィートなナンバー。Kan Sanoのさりげないエレピやコーラスも魅力的ですが、〈やっぱりギタリストだなあ〉と思わされるプレイにぐっときます(特に、2分38秒から始まる短いギター・ソロ!)。

Kan Sanoさんといえば、4月15日(水)にKeishi Tanakaさんとの共作曲“The Smoke Is You”をリリースするそうです。きっかけはMikikiがインタビューを行った企画〈未来ノ和モノ〉だったということで、うれしいかぎり。早く聴きたい!

 

SIRUP “Why Can’t”

なんだかこの一週間は話題曲が多かったですね。

SIRUPの新曲はアップ・テンポでバウンシー、そしてほんのりアシッディーなダンス・チューン。この曲にもShin Sakiuraが関わっています。

 

Chiriziris “GOODMORNINGLAND.”

シンガポールのSashaと東京のFuminaという〈散り散り〉な2人のバンド、Chirizirisが新曲を発表。Babera Recordsがリリースしたコンピレーション『verbena (for john and sarah)』への提供曲です。シンプルなギター・リフと清々しいメロディーに導かれていく、最高のロック・ナンバー。

新しいEPを制作中だという彼ら。昨年夏に行ったインタビューもぜひ読んでください。

 

Jurassic Boys “Blue Night Picture”

ぶっきらぼうなロックンロールに乗せて乾いたロマンティシズムを歌う、Jurassic Boysの新曲。「〈ロック〉を表現する方法は無限にある」というRyushoの言葉が胸を打たれました。

 

yukifurukawa “ハイキングコース”

古川悠木、サラダ、コルネリ、森田哲朗、久間木達朗からなる秘密結社のような不思議な音楽隊、yukifurukawaの一曲。融通無碍かつ繊細で、伸びやかなフォーク・ソングがひっそりと伝えるのは、このバンドの特異性。4月1日(水)にHEADZからリリースされるアルバム『金貨』より。

ところでここ最近、新たなフォークの潮流が生まれつつあるように思うのは気のせいでしょうか。2000年代の〈うたもの〉以降にいくつもあった支流が合流もせず、どこかへ流れ着いて、点々と、ぽつりぽつりと、いろいろな街で歌が生まれている。大久保のひかりのうまでライブを観たり、HEADZから届けられる白と枝や滝沢朋恵さんの作品を聴いたりしながら、そんなことを感じています。

 

「Yu-Koh βver. 〈Digest Movie〉」

曲ではないのですが、2月に開催されたLocal Visionsとlihgtmellowbuによる2デイズ・イベント〈Yu-Koh β版〉のダイジェスト・ムービーが届けられました。映像はhorikirixさん。曲はAOTQの“あ・さ”。めちゃくちゃいいイベントだったなあ、とじんわり感動。

 

【田中亮太】

YeYe “幸せにはならない”

〈幸せにはならないから豊かさを心にしまおう〉という言葉の鮮やかさ、強さ。幸せを求めがちで、そうならないことへの鬱屈に沈んでしまうことの多い自分のなかに、清らかな風が吹きました。この曲を収録した新作『30』は明日3月18日(水)リリース。

 

DRIP TOKYO #20 GEZAN

GEZANの最新スタジオライブが、SPACE SHOWER TVとJ-WAVEによる合同収録企画〈DRIP TOKYO〉にて公開。ダブとダンス・ミュージックを彼ら流に咀嚼した新作『狂(KLUE)』は、プロダクションとメッセージの面で評価されることが多い印象ですが、この映像は、バンド4人の高度なプレイヤビリティ、鍛錬のはてに得た強靭なアンサンブルさがあってこその作品だったのだということを、雄弁に伝えてくれます。早くライブが観られますように。

 

【小峯崇嗣】

New Biboujin “Erase”

東京と京都の遠隔地にて活動するDIYな3人組、New Biboujinの3か月連続リリースの第1弾より。彼らは新曲が出るたびに実験的な試みを行っていると感じます。今回は、キング・クルール(King Krule)以降のサウス・ロンドンのインディーR&Bのサウンドの質感を取り入れた途轍もない一曲に仕上がっています。

そんな彼らには、TOWER DOORSから〈6つの質問〉を行っており、今回の新曲についても語っていただいております。気になった方はぜひ併せて読んでみてください。

 

nape’s “romance”

福岡拠点に活動する4人組バンド、nape’sのセカンドEP『rum rasin』がストリーミングにて解禁となりました。スロウテンポなドラムと、サイケデリックで滑らかなギター・サウンド、そして気だるげなヴォーカル。もう少し温かい季節になったら、この曲を掛けながらお酒片手にダらっとしたい、そんな一曲です。

nape’sには以前TOWER DOORSからメール・インタビューを行いましたので、まだ読んだことのない方、ぜひこちらもチェックしてみてください。

 

【酒井優考】

ジオラマラジオ “実験 Ⅰ”

昨年10月にファーストEP『img(イメージ)』をリリースしたばかりのジオラマラジオが、早くもセカンドEP『txt(テキスト)』を来週3月27日(金)にデジタルリリース。一足お先に聴かせていただきましたが、良さと驚きが入り混じって、すぐにlen君に「すげえよ!」ってお便りを送ってしまいました。特にこの曲のタイトルがそのまま体現してるように、第四の壁をブチ壊してリスナーに直接語り掛けてくるような実験的要素と、胸キュンメロディー&コードワークも最高だし、イメージ(=想像)からテキスト(=創作)が生まれていくっていう流れも最高です。

 

レトロな少女 “品川条約”

相対性理論フォロワー感よりオリジナリティーのほうが多くなってきて新曲がめっちゃ待ち遠しくなってる自分がいる……そして歌詞がなんかえっち……。

 

なきごと “『sasayaki』[トレーラー]”

次来ると思ってる2人組ロックバンド、来週リリースのセカンドシングルのトレーラー映像。大好きな山崎英明さん(ex.School Food Punishment、siraph他)がベースなのもアツい。