〈どんな表現においても、表現のおおもとってイメージだと思うんです。でも頭のなかのイメージってもやがかかっていてクリアじゃない。それをクリアにするのが表現なのかな〉と自ら語ったファーストEP『img』(2019年)から半年。セカンドEPのテーマは、そのイメージを実体化させた〈テクスト〉。そのテーマの通り、〈やりたいこと〉をよりクリアにさせた印象がある。

そのひとつは、音楽に限らずさまざまな映画や芸術から影響を受け、その影響を包み隠さず引用し、しかし自己流に再解釈・再構築して新しいポップスに仕立て上げているところ。引用の文化があまりなくなってしまった(もしくはパクりと呼ばれるチープな引用ばかりの)近年の音楽において、影響元がこれだけ明らかなのは気持ちがいいし、だからこそ懐かしくて新しい。

もうひとつは、それらも含めた遊び心・実験心だろう。全6曲なのに4曲目に2曲目“さよならレディ・スターダスト”のShin Sakiuraによるリミックスが入っていたり(このギター・ソロが最高で)、5曲目の“0:00 式日 - 2:51 実験Ⅰ”は1つのトラックに2曲を収録していたり(〈多くの音楽配信サービスで6曲未満と決められているEPの概念の拡張させる試み〉とのこと)と、作品を通じてリスナーの耳を楽しませる遊びの要素がさまざまに盛り込まれている。

……みたいな御託を抜きにしても会心の出来の本作。最後の“SUPER SAD SONG”を聴けば誰しもが胸をときめかせることだろう。さて、もやがかかったイメージを実体化させてテクストに生まれ変わらせたジオラマラジオが、次につくるものとは何であろう? 誰に頼まれなくても、もっと自由に、もっと好き放題、表現をし続けていくと思う。