
元EMPiREの6人による新グループが始動! 圧倒的なデビュー作で表現された変わりゆくものと変わらないもの――そこで彼女たちはどんな未来を照らし出す!
5月30日に突如〈解散〉を発表し、グループ最大規模のホールツアー〈EMPiRE DOPE MAGiC TOUR〉のファイナルとなる6月2日のLINE CUBE SHIBUYA公演で最後のパフォーマンスを披露したEMPiREでしたが……同公演の最後で新グループとしてExWHYZ(イクスワイズ)の始動をサプライズ発表。メンバーは変わらずyu-ki、mayu、midoriko、maho、mikina、nowの6人ということで、ある種の〈解散ドッキリ〉とも捉えられかねない劇薬的な試みながら、レーベル移籍に伴うグループのリニューアルが刺激や進化を促す目的だったのは言わずもがな。そのまま7~8月を〈元EMPiREなりのラストツアー〉で過ごした6人は全国を周りながら次への準備を着々と進め、制作途中でmidorikoが休養に入ったものの、ファースト・アルバム『xYZ』を完成させたばかりです。文句ナシの逸品に仕上がった同作について、今回はmayuとmahoの2人に話を訊きました。
不安よりも期待が勝ってる
〈結成〉の意図や舞台裏はアルバムに付くBlu-ray/DVD収録のドキュメント映像作品〈The Birth of ExWHYZ〉やFC限定公開のインタヴューでも明かされている通りですが、〈解散〉から数か月を経てメンバーたちは変化をどう捉えているのでしょう。
mayu「キャリアも5年目になるから〈ただ名前が変わっただけだな〉って思われたくないし、もっとステップアップしたいという意味でのプレッシャーはあるけど、不安よりかは〈あんなことできるかもな〉〈こんなことしてみたいな〉っていう気持ちが勝っています」
maho「もちろんEMPiREというものに愛を持って活動してきたので、寂しさはみんな絶対あるんですけど、新しい活動にワクワクしてる部分もみんな同じようにあるから、〈一緒に共有して乗り越えていこう〉みたいなのはありますし。あと基本的にメンバーみんな明るいので(笑)」
mayu「そうだね(笑)。いままでいてくれたエージェント(EMPiREファンの総称)がExWHYZも好きになってくれるかな?みたいな気持ちはあるけど、変化や活動そのものに対してはみんな凄く前向きな状態です」
名前以上の大きな変化は、制作陣を一新して洗練された楽曲の出来映え。国内外の幅広いクリエイターがグループの魅力を輝かせています。
mayu「EMPiREもいろいろ模索しながら周りのスタッフさんと一緒に作り上げてきて、そこはグループが変わっても地続きなので、EMPiREの良いところをもっと進化させてブラッシュアップできたアルバムだなって思います」
解散ライヴ直後の6月半ばには最初のデモが用意され、水面下で制作が進行。抑制の効いた大沢伸一プロデュースのリード曲“Wanna Dance”を筆頭に、初顔合わせを重ねて全11曲が用意されました。
mayu「大沢さんに限らず、毎回初めてのスタジオに行って、初めてのクリエイターの方と録ったのでめっちゃ緊張したんですけど、皆さん凄く柔らかい雰囲気の方々だったので、安心しながらレコーディングしましたね。曲調も〈これ自分たちでできるのかな?〉って最初はドキドキしてたんですけど、やっぱり変化するなら自分たちでも〈イケるのか?〉って思うぐらいがいいかなって(笑)。毎回その曲に合う自分を自分なりに作り上げてレコーディングに行っていました」
曲調の変化に伴い、個々の歌い口がよりナチュラルに響いてくる点も印象的です。
mayu「細かいディレクションがそんなになかったからメンバーそれぞれの持ち味で歌った感じで、そこがけっこうおもしろかったです。前はポイントを明確に指示してもらえていたから、そこをめざして歌っていたんですけど、今回のディレクションはニュアンス的なことが多かったので、自分の感覚が試されるし、意図を汲み取る能力が必要だなって。だから音楽をよりいっそう感じて臨まないと難しいんだなって凄く思いました」
maho「自由に歌っていいからこそ、自分でも〈この曲はこういうふうに歌いたい〉みたいなものを、ちゃんと持ってないといけないなって思いました」
メンバーも作詞に関わる構成は従来通りで、なかでも今回はmahoがExWHYZ名義や共作も含めて7曲に関与。サウンド面の進化が際立つ一方で、過去を踏まえての現在が綴られた歌詞にも注目でしょう。
maho「やっぱり何かが終わって何かが始まるタイミングだったこともあって、いろんな側面から自分たちやグループを見ることができたので、それをいっぱい書きましたね。難しい言葉を使わないで、思ったままに書いてみたものもあります」
mayu「全部新しくなるからって、EMPiREでやってきたこととか、エージェントのこととか、うちらの関係みたいなものをなかったことにしないで、ちゃんとそれを抱き締めて進んでいこうみたいな気持ちがmahoちゃんの歌詞からわかるから、凄くいいなって思いました」
大切にしたいもの
序曲の“xYZ”とそこからシームレスで繋がる“D.Y.D”はyahyelの篠田ミルと山田健人がプロデュースし、抑制されたトラックで新たな可能性の胎動を表現。“Wanna Dance”のMVも監督した山田はEMPiRE時代からライヴ演出やMV監督を務めるなどメンバーと縁の深い存在でもあります。
mayu「yahyelの曲もカッコイイなと思って聴いてたんですけど、山田さんはライヴ演出もただ演出するだけじゃなくて、ちゃんと私たちのパーソナルな部分に触れてくれる方なんですよ。なので、今回も状況を踏まえて曲を作ってくださって、仮歌の時点から歌詞もめっちゃ気合い入ってて〈私たちのことを書いてくれたんだな〉って思える内容で凄く嬉しかったです」
そんな冒頭のディープな蠢きからキラキラと解放的に両腕を広げるのが、デニー・ホワイト作の“STAY WITH Me”。MiCKiE J(とは?)がディズニーのプリンセス映画を観て書いたという歌詞も多幸感を増幅し、往時の姿にも重なるポップな音世界が展開されています。
mayu「“STAY WITH Me”と“Wanna Dance”はもともと〈元EMPiREなりのラストツアー〉ファイナルで初披露する予定で、6人でレコーディングした曲です。やっぱり最初の“Wanna Dance”で変化を見せるだけだとビックリさせちゃうかもしれないけど、“STAY WITH Me”はそのまま何も考えず楽しんでもらえそうだねってメンバー間でも話していて。予定通りに初披露はできなかったですけど、そういう意味でこの2曲を準備していました」
エッジーな親しみやすさという意味でズバ抜けているのは、80KIDZによる先行配信曲“Obsession”。バウンシーなアシッド・ハウスとMaika Loubté作のクールなメロディーに乗せてエモーショナルな歌唱の魅力が明快に発揮された名曲です。
mayu「めっちゃ良い曲で、私は歌ってていちばん楽しかったです。Maikaさんの仮歌と岡嶋かな多さんの歌詞を別々でいただいたので最初はハメ方が全然わかんなくて難しかったんですけど。岡嶋さん直々に歌詞を充てた音源をいただいて、それを聴いてレコーディングに臨みました」
maho「MVは木村太一さんに初めて監督していただいて。クラブをイメージして踊ったりもしたんですけど、意外とナチュラルに〈ちょっと歩いてみて〉〈みんなで話してて〉みたいな場面も多くて、いつものようにバカ騒ぎしてるだけのところを自然に撮ってもらってました(笑)」
ダンス・トラックではクールで大人っぽい“WEEKEND”もスリリングな週末の疾走感を纏ったクセになるカッコ良さ。
mayu「最初のデモが大人っぽすぎて、〈私たちにできんのか?〉と思ったけど、ちゃんと自分たちの味が出て、想像してたより凄くカッコ良くなったからめっちゃお気に入りの曲です」
maho「いちばん最初に書いた歌詞ですね。比喩というか、曲のいままでになかったオトナな雰囲気と、週末だけファンの人と会う感じが私の中でリンクして、〈もしかして私たちは危険な関係なのかもしれない〉って思いながら書きました(笑)」
一方、粋なコード感が映えるミディアム“4:00 a.m”はMichael Kanekoの作。歌詞はmikinaとmahoの共作です。
mayu「mikiちゃんが1番の歌詞を書いて、mahoちゃんがサビとそれ以降を書いてるんですけど、組み合わせたら〈都合のいい女〉みたいになったというか……」
maho「思いが通じ合えない人たちのお話になった(笑)。レコーディングは皆さんそれぞれスタイルがあったんですけど、マイキーさんはフランクな感じの方で、ソファーに座ったり立ち上がってノリながらやってたり、自由に歌えました」
同じorigami勢から関口シンゴ(Ovall)を迎えた“あいしてる”は、唯一のアコースティックなスロウ。メンバーも含む周囲との関係を綴ったようなmahoの歌詞を各々の素朴な歌声がピュアに色付けています。
maho「関わってくれてる人たち、私が大切だと思う人たちや大事にしたいことを、これから先も大事にしていきたいなって思うこと、つらつらと書きました。その歌詞をみんなが思うように歌ってくれたのを感じて、温かくていいなって思ってます」
さらに栗原暁(Jazzin’park)と前田佑による“You & Me”もmahoの作詞。軽やかなビートが率直な心境を運ぶ好曲です。
maho「明るく前向きな感じにしたいなと思いつつ、やっぱり元EMPiREのツアーを回っている夏に書いて、変わっていくものがたくさんあるなかで、変わらないものも大切にしていきたいなって考えていた気持ちをシンプルに書いて。あと、ExWHYZのメンバーは何度も手を繋いで立ち上がっていくみたいなエネルギーが凄くあるなとか、みんなに会えるの楽しみな気持ちとかを書きました」
そしてShin Sakiuraの手掛けた“Higher”はmayuが歌詞を共作。これも現状を映し出したものでしょう。
mayu「私は今回、本当に納得のいく歌詞がまったく書けなくて、そのなかで1曲だけ〈これは書けた!〉って思ったのが採用されました。普段は恥ずかしくて言えないメンバーへの気持ちを歌詞でなら言えそうだし、ずっと書いてみたかったんですよ。1番の歌詞はShinさんが書いたほぼそのままなんですけど、歌い出しの〈あれから何年経ったろう〉から着想を得て、そこで〈あっ、これ自分たちのこと書けそう〉と思って、そこを頼りに2番以降を書きました。改めて一緒にがんばっていこうっていうタイミングで自分的に書きたいと思ってたことを書けたので嬉しかったです。Shinさんが愉快な人だったのでレコーディングも楽しくやれました」
ラストの“Universe”では冒頭2曲を手掛けた篠田&山田のコンビが再登場し、ストイックな眼差しで未来を歌って幕を下ろします。リリース後の11月から来年1月にかけては初の全国ツアー〈ExWHYZ First Tour xYZ〉が開催され、ExWHYZとしての旅がいよいよ始まることとなりました。
mayu「たぶんいままで見せたことのない私たちもこれから見せていくんですけど。でも、いままでやってきたことは間違いなく私たちの中にあって、それが原動力でExWHYZをやれてるなって自分たちでも感じてるし、変化はあるんですけど、やっぱり目の前にいるみんなのことがいちばん大事だと思いながらやる気持ちはずっと変わらないので、ライヴで一緒にまた楽しい時間を共有できるのを楽しみにしています」
maho「ExWHYZっていうグループがどういうものなのか、自分たちもこれから作り上げていくなかで見つけていくのを楽しみながら、来てくれる人たちとはEMPiREの時代と変わらず一緒に楽しんで、自分たちの可能性を信じてやっていきたいです」
EMPiREの近作。
左から、2019年作『the GREAT JOURNEY ALBUM』、2020年作『SUPER COOL EP』、2021年作『BRiGHT FUTURE』、2022年のライヴ映像作品「THE FiNAL EMPiRE -EMPiRE DOPE MAGiC TOUR 2022.06.02 at LINE CUBE SHIBUYA-」(すべてavex trax)
『xYZ』でExWHYZの魅力を引き出したクリエイターたちの顔ぶれを簡単に紹介!
本文の補足情報として『xYZ』を作り上げたクリエイター陣を簡単に紹介しておきましょう。まず、デビュー曲の“Wanna Dance”は、MONDO GROSSOでの『BIG WORLD』はもちろん空音との楽曲も記憶に新しい大沢伸一のクールな名仕事。また、80KIDZならではのダンス・トラックになった先行曲“Obsession”では、その80ともコラボするMaika Loubtéがメロディーを書き、さらに安室奈美恵やNiziU、三浦大知らに詞曲を提供してきた岡嶋かな多が作詞するという豪華な布陣です。
さらに次のMV候補曲“STAY WITH Me”を担当したデニー・ホワイトは、フェデ・ル・グランのヒット“Cinematic”などEDM~ハウス方面で著名なLAのシンガー/ソングライター。海外勢だと、クセになる“WEEKEND”を制作したジェイクKはTWICEらK-Pop仕事の多いLAのクリエイターで、トップラインを書くストックホルムのマリア・マーカスはRed Velvetや倖田來未、池田エライザらに曲提供するほか、ハウス系の歌唱でも活躍中の才女です。
日本勢ではyahyelの篠田ミル&山田健人をはじめ、Michael Kaneko(藤原さくら他)やOvallの関口シンゴ(あいみょん他)、Shin Sakiura(SIRUP他)ら本人名義作もお馴染みの面々が並ぶなか、“You & Me”を手掛けたのは栗原暁(Jazzin’park)と前田佑という共にハウス畑のコンビ。近年は王道のJ-Pop作品を数多く手掛けるTinyVoice所属のクリエイターであります。
左から、MONDO GROSSOの2022年作『BIG WORLD』(A.S.A.B)、80KIDZの2021年作『ANGLE』(PARK)、Maika Loubtéの2021年作『Lucid Dreaming』(Water)、yahyelの2018年作『Human』(BEAT)、フェデ・ル・グランの2016年作『Something Real』(Darklight)、Michael Kanekoの2022年作『THE NEIGHBORHOOD』、Ovallの2019年作『Ovall』(共にorigami)、Shin Sakiuraの2020年作『NOTE』(PARK)
