吸収と挑戦を繰り返してサナギはゆっくりと羽ばたきの時を迎えた。恐れることなく自身を表現した2年ぶりのニュー・アルバムは、色鮮やかに変化する多彩な光に溢れている!

もっともっと自分らしくいていい

 昨年10月にデビュー5周年を迎えたiri。その間の心の軌跡が図らずして投影されたベスト・アルバム『2016-2020』をリリース後、東京、大阪でその大きな節目を記念する5周年記念ライヴを行った彼女のパフォーマンスは、それまでふわりと覆っていた薄いベールが取り払われたような解放感と、ありのままに歌うことの喜びに満ちていた。

 「いままでみんながイメージする〈クールでかっこいいiri〉をステージで見せようと意識していたのですが、5周年記念ライヴでは、iriの音楽の楽しみ方だったり〈iriって、こういう人間なんだよ〉って自由に表現することに重きを置いて歌い、演奏したんです。そうしたら、会場にいたみんなも私のムードを感じ取ってくれて、〈いままでは距離を感じていたけど、一緒に音楽を楽しめた〉という声が多かったんです。そうやってみんなと距離が近づけたからこそ、作る曲やライヴ、アートワーク、すべての表現において、もっともっと自分らしくいてもいいんじゃないかなって思えるようになりました。だから、いわゆる女の子らしい服装や髪型で装うんじゃなく、恐れずに自分をよりさらけ出して、いまのiriを自然に見てもらいたかったし、作品を作りながら、いま自分がいろんなものを吸収、挑戦して、養分を吸収している時期にいるような気がしていて。だから、今回のアートワークはサナギをイメージしました。少しずつ開いて、羽ばたいていく、そんな心境を重ねていったんです」。

iri 『neon』 Colourful(2022)

 前作『Sparkle』から約2年ぶりとなる新作アルバム『neon』は、ギリシャ語で〈新しい〉を意味する〈neos〉に由来し、ネオンライトに封入されたガスの無色透明なカラーイメージをタイトルそのままに想起させる。

「例えば、1曲目の“はずでした”は宇宙の光、“摩天楼”は街のギラギラした光、“目覚め”はあたたかい光、というように、このアルバムはどの曲にも光があるように感じられるんです。その光が強くなったり、柔らかくなったり、その変化する様が自然のネオンみたいだなって」。