現体制になって丸3年が経ち、ヒップホップ育ちならではのラップセンスとスキルを有するhime、ハスキー・ヴォイスとノリの良さが持ち味のrisano、歌パートを担うことの多いminanとyuu、愛嬌たっぷりのhinakoという、メンバー各人の個性と魅力がより明確になってきたlyrical school。昨年には2度目(新体制では初)のメジャー進出を果たし、9月には移籍後初のアルバム『BE KIND REWIND』を発表。同作についてhime(以下同)が「アイドルとヒップホップの垣根を越えられた作品になった」と語る通り、彼女たちが志すのは、ジャンルやある種の括りに捉われることなく、単純に〈カッコイイものを届ける〉ということ。その最新にして最高の成果が、タイトルに5本マイクならぬ5本の〈!〉が並ぶ新作EP『OK!!!!!』だ。
「今回はコンセプトやテーマをガチガチに固めるというよりは、〈新しく挑戦したかったことの詰め合わせ〉といった内容のEPになりました。今までリリスクが表現してこなかったもの――具体的に言えば、女性のラッパーさんに曲を書いていただくことなどを思う存分やってみました。オートチューンを使っている曲もありますし、収録曲それぞれがまったく違う曲になっているので、新しいリリスクを感じてもらえるのではないかなと思います」。
リード曲の“OK!”は、彼女たちの作品ではお馴染みの大久保潤也(アナ)× 上田修平コンビがトラックを、ALI-KICKが作詞を担ったファニーでフューチャーなトラップ・チューン。「個人的にもラップの難易度がグッと上がったように感じる曲でした。この曲こそ、3年経った今だからできる曲なのかなと思います。レコーディングではあえて速めなラップをして、前のめりな、スピード感を感じてもらえるように意識しました」との言葉も納得の爽快なマイク・リレーと、彼女たちらしいポジティヴ・ヴァイブスが気持ちのいい一曲に。そして前述の〈女性ラッパーに書いてもらった曲〉というのが、ギャル風のキャラとネット世代以降の感性で注目を集めるvalkneeが提供した“HOMETENOBIRU”。ANTIC製のダークなトラップ × 4つ打ちトラックに乗せて、5人がいつになくワルそうなフロウを聴かせる、小悪魔的なキュートさが光るナンバーだ。
「ヒップホップでよくあるボースティングを、いちばん可愛く表現したのがこの曲。まさにアイドル・ラップを表している一曲です。valkneeさんとは、いつかライヴなどでご一緒できれば……と思っていたところに今回のお話をいただいたので、すごく嬉しかったのを覚えています」。
他にも、“夏休みのBABY”をはじめ数々のアガる夏ソングを持つ彼女たちが、「〈夏曲といえば盛り上がる〉といった認識を一旦なくし、声に切なさをプラスした表現ができるよう、丁寧にラップしました」という、センチメンタルなオートチューン曲“Last Summer”、ライヴで共演歴のあるKick a Showを迎えたブギーなナイトライフ賛歌“Dance The Night Away”といった新鮮な楽曲も用意。最後は、リリスクに最初期から関わる泉水マサチェリー(とMCモニカ)が提供した、ポップなのに胸に迫る歌サビが彼女たちらしい“Bring the noise”で賑やかに幕を引くところも素晴らしい。今のリリスクには、イケてる女の子が集まったとき特有の無敵感があるし、いろんな枠を飛び越える自由さに溢れている。彼女たちの視線の先には、今、どんな夢が広がっているのだろうか?
「夏フェスに出たいです! 夏曲の多さで右に出るグループがないくらいだと思うので……! また、メンバー全員で共通した目標は、日比谷野音でワンマン・ライヴをやることです。ヒップホップの聖地に満を持して立てるよう、これからもヒップホップ・アイドルとして、ラップもアイドルもどちらの面も磨いていくので、応援よろしくお願いします」。
lyrical school
yuu、minan、hime、hinako、risanoから成るガールズ・ラップ・ユニット。2010年に〈清純派ヒップホップ・アイドル〉のtengal6として結成され、2012年に現在のユニット名へ変更。数度のメンバー交代を経て、2013年7月にminanが、2015年12月にhimeが加入。2016年4月にシングル“RUN and RUN”でメジャー・デビュー。活動休止を経て2017年より現体制に移行し、“夏休みのBABY”で再始動する。2018年には現体制で初のアルバム『WORLD'S END』をリリース。2019年6月より現レーベルより再メジャー・デビューを果たし、9月にフル・アルバム『BE KIND REWIND』を発表している。このたびニューEP『OK!!!!!』(CONNECTONE)をリリースしたばかり。