

1年くらい前に書いていた日記を開いてみた。
文章量にばらつきはあれど、ほぼ毎日マメに書かれていて、読み返していて思わず顔が引き攣ってしまうほど、自分の行動や感情が赤裸々に記録されていた。
なかなか眠れなかった夜のこととか、ファンの方がくれたこの言葉に救われたとか。心配になるくらいネガティヴな日もあれば、幸せそうな日もあって、当時は必死に生きていたから気付けなかったけれど、こうして振り返ることでいろんな気持ちになりながら毎日闘っていたんだなと、自分を抱きしめてあげたい気持ちになった。
そんな時にふと、先月渋谷のライヴハウスで観たEnfantsというバンドを思い出した。
前身バンドのフロントマンとして17年間活動していた松本大を中心に、2022年から活動を開始したというEnfants。彼らが出演していたのは、昼から夜にかけて6組のバンドが演奏する長丁場の対バンイベント。私はただ友人に誘われてフラッと入っただけで特にどのバンドが観たいというわけではなかったが、その日のトリということで、事前に曲を聴いたりSNSを軽くチェックしたりして、出番を楽しみに待っていた。


目の前で演奏が始まった時の衝撃は、期待を圧倒的に超える忘れられないものだった。
この世に対する怒り、でもまだ可能性を捨てきれず、少しの光を頼りに生きたいという希望、すべてをギュッと詰め込んで表現していた。そんな心を掴んで離さないライヴを観た記憶と、日記を読み返していて感じたことが、何故だかリンクした。自分の中だけで消化してしまいたくなるような私的で人間臭い部分を認めて、前に進む勇気をもらった気がした。
読み返した後、机の上に放置していた日記に目をやった。また新しく書きはじめようと思った。過去に自分が書いた数十ページは、いつかまた読めるように丁寧にちぎって、引き出しの奥にそっとしまった。

【写真と文】hana:8人組のHIP HOPユニット、lyrical schoolでMC/ヴォーカルを担当。lyrical schoolのニューEP『LIFE GOES ON e.p.』(ビクター)も好評リリース中。グループ結成15周年を迎える10月11日(土)には都内某所でスペシャルな記念ワンマンが開催されます。最新情報は〈https://lyricalschool.com/〉にて!