後先を考えずに、衝動的に〈したい〉と思ったことを実行している時間が好きだ。例えば、夜遊びに行くこと。実は出演者として参加するオールナイトイベント以外で〈夜遊び〉をした経験はそんなにないけれど、ライヴハウスの中で朝を迎える日は、人生レベルで記憶に残る思い出になるのだ。

 4月末、高校時代の同級生がDJとして活躍しているという噂を聴き、友人と見に行った日のこと。かなり前から一緒に行く約束をしていて、その日が来るまで楽しみでソワソワしていたのだが、当日は2人とも朝から予定があり、22時頃にいったん新宿のファミレスに集合した時にはもう、お互い1日分の体力を使い果たしていた。言葉にせずとも、「どうする? 本当に行く……?」という空気が2人の間を漂った。つい弱気になって「帰る?」と口に出そうとした瞬間、友人が「もうこんな機会ないかもしれないからがんばって行こう!」と気合いを入れてくれた。

 そして会場に到着し、地下の扉を開けてから始発が来るまでの5時間弱、頭がバグってしまうほど爆音の4つ打ちを浴び続けた。疲労を誤魔化しきれず何度か帰りたくなる瞬間はあったものの、無事に同級生がDJをしている姿を見届けることができた。

 体内時計が狂ったことによる気持ち悪さが少しあったが、外に出て明るい空を見た時の達成感と、ずっと冷めない興奮がそれを上回った。この日みたいな1日を過ごせるチャンスがいつかまた巡ってきたら逃さないようにしよう、と心に決めた。

f5ve 『SEQUENCE 01』 LDH(2025)

 この日ずっと頭から離れなかった楽曲は、LDH所属の5人組グループ・f5ve(ファイビー)の“Underground”。マニュアル通りの私生活を抜け出して、自分たちの居場所である地下(Underground)で輝きたいという思いが描かれた曲だ。サビで繰り返される〈チカチカ地下地下チッカ地下〉というフレーズは一度耳にすると癖になり、ライヴなどに出かける時に聴くと、いちばん気分が上がる曲だ。そんな“Underground”を含めた、彼女たちのファースト・アルバム『SEQUENCE 01』。この文章を書いているのはリリース前だけれど、絶対にチェックしたい。

 


【写真と文】8人組のHIP HOPユニット、lyrical schoolでMC/ヴォーカルを担当。lyrical schoolでは現体制での初作『DAY 2』(ビクター)に続き、“dance”が配信中。5月30日に東京・新宿MARZで開催されるワンマン公演〈LS8〉も間近に控えています。それ以降の最新情報は〈https://lyricalschool.com/〉にて!