前作から8年というブランクは26年のキャリアの中で最長ながら、オーガスト・グリーンやダニエル・シーザーなど近年の名客演のおかげで存在感は高まり、チャンス・ザ・ラッパーを迎えた母親讃歌な先行曲“Baby Mama”の好評もあってアルバムへの期待値を高めていたブランディ。待望の7作目は、そのダニエルとのコラボ“Love Again”(本作にも再収録)に関わったDJキャンパーを制作の核に据えている。これまでもプログレッシヴなR&Bを試みてきたブランディだが、今回は現行R&Bモードに彼女ならではのテイストを注入してアップデートした傑作といえるだろう。ポップさを削ぎ落としたクールなサウンドから、主役のハスキーな声質の旨味がくっきり浮かび上がってくるプロダクションは見事だ。