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【天野龍太郎】

米津玄師 “カムパネルラ”

2020年最大の話題作『STRAY SHEEP』から、“カムパネルラ”のミュージック・ビデオが発表。この曲、メロディーラインもすごいなと思うのですが、なんとも複雑かつ繊細に編み込まれたビートと、それを中心としたサウンド・プロダクションがもっとすごい。

 

ウワノソラ “無重力のフォトグラファー”

ウワノソラが、8月15日(土)にリリースするシングル『くらげ』(現在ウワノソラのオフィシャル・ストアで予約受付中)から“無重力のフォトグラファー”のMVを発表しました。角谷博栄くんが書く曲って突き抜けてポップで親しみやすいんですけど、その一方でとてもエレガントで優雅なので、こういう曲を書けるひとはなかなかいないと、いつも感じ入ります。ソングライター、コンポーザーとしての凄みを感じる一曲。Lampの染谷大陽さんと角谷くんがプロデュースしたNegicco・Kaedeさんの新作『秋の惑星、ハートはナイトブルー。』も、とっても楽しみです。

 

環ROY “Protect You”

なんと3年ぶりとなる新曲。不退転の決意が刻まれたリリックと音で、聴いているこちらも背筋が伸びる思い。〈俺ら気分はもう戦争/ほとんど占領された街の喧騒/お前を守るだけ〉。〈言葉を隔てる高層タワー〉というラインから、いろいろな意味を読み取ってしまいます。

 

ZOMBIE-CHANG “SNOOZE”

新作『TAKE ME AWAY FROM TOKYO』からの一曲。わお。超アシッドでエレクトロ! ダンス・ミュージックへの愛をびしばし感じるビートと電子音で、かっこよすぎです。

 

かねこきわの “ヘーゼルナッツ”

さとうもかチャンとの共演で知った、注目のシンガー・ソングライター、かねこきわのさん(出身も、もかチャンと同じ岡山)。彼女がついにファースト・アルバム『チョコレートムンク』をリリースしました。この“ヘーゼルナッツ”はその収録曲で、エレピやオルガン、シンセ・ストリングスが華麗に踊るキュートなポップ・ナンバー。恋を歌った、どストレートなリリックも含めて超いいです。

 

さとうもか “愛ゆえに”

その、かねこきわのさんの盟友さとうもかチャンが、新作『GLINTS』から“愛ゆえに”のMVを公開。まっすぐ響く歌、ロッカバラード調のビートとガレージ・ロック・サウンド、そしてなによりも岡山で撮影された映像がすばらしい。

 

tamao ninomiya “魔術師の弟子(demo)”

7月の連休中、鯔を愛する男さんによる狂気の催し〈24時間耐久ガールズポップ〉に参加していた、たまおさんの新曲デモ。ハッシュタグには〈Sixty Records〉(麗美や早瀬優香子、戸川京子の作品をリリースしていたレーベル)とあります。たしかになんとも頽廃的で、ファンタジックで、ヨーロピアンな感じ……。歌詞がおもしろいので、どこかに載せてほしいです!

 

【鈴木英之介】

松任谷由実 “あなたと 私と”

ユーミンと「刀剣乱舞」の組み合わせを一体だれが予想しただろう。ペダル・スティール・ギターを随所に用いたアレンジは荒井由実時代のそれを彷彿させるが、角度を変えると昨年“Andromeda”でやはりロマンティックなペダル・スティール・ギターを聴かせたワイズ・ブラッドへの反応であるようにも感じられ、また興味深い。

 

Serph “Lilium (happy end mix)”

静謐なキーボードに導かれ、分け入ってみると、そこにはホーリーな世界が広がっている。無垢な歌声とピコピコとした電子音、単純な踊りを拒むようなビート、グリッチ・ノイズ。要素だけ取り出せば、過去のジャンルとしての〈エレクトロニカ〉のようにも感じられるが、それらの組み合わせから成るこの曲にはまぎれもない現代性があり、とびきり新鮮に感じられる。

 

豊田道倫 “ケダモノの涙”

衝動がそのまま結晶化したような、シンプルでありながら豊饒な一曲。それはまるで、赤ん坊の産声のようだ。荒々しいギター、泥臭い歌唱、メロウなコード感、悲哀に満ちた歌詞。どこを切っても豊田節で、聴いているうちに力がみなぎってくる。

 

パソコン音楽クラブ “Murmur”

最新EP『Ambience』からの一曲。肉体に直接訴えかけてくる快楽的な四つ打ちとアルバム名を体現するかのようなアンビエント感覚が融合し、深遠なダンス・ミュージックとして結晶している。音楽性に似たところのあるアンダーワールドの名盤『Beaucoup Fish』(99年)などと並べて聴くのもまた、オツなものかもしれない。