満天のMaiden Voyageから1年、シングル四連星に続いて到着したのは名曲だらけのニュー・アルバム! カラフルに煌めくポップな星々が夏空に描き出す星座の形とは……

ひとつのチームとして

 「プロデューサーのはせ(はじむ)さん、佐藤(清喜)さん──みんなで作ってる感はずっとありますね。誰かが欠けたら、たぶん無理。ひとつのチームになってるから、お二人にはいっしょにジャケットに写ってほしいぐらい(笑)」。

星野みちる 『E・I・E・N Voyage』 HIGH CONTRAST/ヴィヴィド(2014)

 類い希な表現力や声質、個性を持ったひとりの女の子が、腕利きの作家陣と共に作り上げた楽曲によってその個性をさらに光らせていく。松田聖子+松本隆、菊池桃子+林哲司、斉藤由貴+武部聡志……アイドル黄金期における名タッグがそうであったように、絶対的な信頼関係があったうえでの共同作業から生み出されたポップソングを通じ、リスナーに愛しさと恍惚を与えてくれる彼女──星野みちるは、いまこの時代において稀有なアイドルだ。

 「今年で29歳になるのに、〈NO MUSIC, NO IDOL.〉のポスターまでやらせていただき……イイのかなあって(笑)」。

 いやいや、チャーミングなそのルックスとキャラクターもハイセンスな音楽への入口になっているはずで、そういう意味でのアイドル性は間違いなく十分でしょう。そういった概念の話はともかく……AKB48のオープニング・メンバーからソロ・シンガーへと転身した彼女。しばらくは〈足踏み〉に近い状態だった数年を経て現在のプロデュース・チームと出会い、新たな世界観を打ち出したファースト・アルバム『星がみちる』をリリースしたのはちょうど1年前。いわゆる〈界隈〉の外から作家陣を招いたアイドル作品はことさら珍しいものではありませんでしたが、最終的にアウトプットの役割を果たす歌い手のセンスによって得も言われぬ切なさや輝きを放った彼女の楽曲は、〈楽曲派〉を自認するファンはもとより、80年代アイドルの華やかさや色っぽさを知る往年のリスナーや、それ以外の音楽好きにも強く訴えかけるものでした。

 「いままでは、音楽というよりも〈星野みちるが好き〉っていうきっかけで聴いてくれる人がほとんどだったんですけど、いまのチームで作るようになってからは、〈この曲はあれだよね?〉とか……音楽通の人って言えばいいんですかね、新しい人たちがライヴにも来てくれて。そういうのは嬉しい変化ですよね」。