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歌のタネ

――ダジャレとか言葉遊び、引用を使った歌も多いですよね。

「ダジャレが大好きで、ダジャレばっかり思い付くんです(笑)。思い付いたら言わないと気が済まないし。むぎが生きてきてもう17歳かな、人間の年齢で80歳を超えると思うんだけど、この年齢になればダジャレを我慢できないっていうのは仕方がないことですね。でもダジャレって韻を踏むことみたいなものだし、その方が耳馴染みがいいってこともあるし。沖縄のラジオ番組で洋楽を流すDJを担当してるんですけど、洋楽は韻を踏む曲が多いんですよ。それを考えると、ダジャレというより韻だと思って、歌にそういうのを盛り込むのは当たり前だと思ってます」

――今回で言うと“ネコジェラシー”というタイトルが素晴らしいですね。

「〈ネコジェラシー〉という言葉はむぎが思い付いたんじゃなくて、マネージャーさんと〈猫じゃらしで思い付くダジャレない?〉っていう会話をしてる中で、マネージャーさんが〈ネコジェラシーじゃないですか?〉っていうから〈それいただき!〉ってなったんです(笑)」

――そういうところから曲になるんですね(笑)。踊りも猫じゃらし型のスポンジを持って、Cの字型に曲げて。

「ああいう小道具も全部自分で作ってます(笑)。DIYが好きで、宅録も全部ひとりでやって、MVも自分で作って、何もないところから自分で生み出すのがすごい好きですね」

――そういったいろんなタイプの曲があることに対して、先日の配信ライブのMCでは〈胸のなかに生まれる気持ちが歌のタネになっている〉と言ってましたね。

「例えば怒りだったり、悲しい気持ちだったりとかも、意味があるからそこに生まれるんだと思うんですよね。だからそれをどう昇華するかっていうのは人によって違うと思うんですけど、むぎは歌というアウトプットの選択肢があるんだなと思っています。歌にしてみんなの気持ちを代弁してるのかもしれないし、むぎの独りよがりかもしれないですけどね」

 

むぎちゃんの好きなアーティストと今後の夢

――“赤い花”には沖縄音楽の要素が入っていますけど、他にも“Yes!入浴”は中華風だったり、前作はボサノヴァやパンク調の曲もあったり、ラップもやっていたり、毎回いろんなジャンルの要素を取り入れていますよね。そういうのはどこから影響されてるんでしょう?

「〈どんな音楽を聴くの?〉って訊かれた時はすごく迷うんですよ、本当に広く浅くいろんなものを聴いているので。まあ、トータルで言うとJ-Popを聴いてるんですけどね。でも、〈一番好きな音楽は?〉って訊かれたら、THE BLUE HEARTSって答えます。基本的にどの曲もパンク調に直したら、メロディーラインはきっとTHE BLUE HEARTSになってると思いますよ(笑)。今作の“かっこいいCOLOR”も、メロディーラインには甲本ヒロトの影響が出てますね」

――では、ありがちな質問ですけど、無人島に何かCDを持っていくとしたら?

「同じレーベルなんですけど、昔っから青葉市子さんが大好きで、無人島に持っていくなら青葉市子さんのCDがいいですね。特にこのCDとかこの曲がいいというのはなくて、歌声とかギターの音色がむぎのツボにハマっているんです。THE BLUE HEARTSとは真逆の音楽ですけどね(笑)。だからスピードスターレコーズからデビューできると決まった時は本当にうれしかったです。市子さんと同じなので」

――青葉さんとコラボとかは……?

「いや、あの……本当に好きな人とは会いたくないんです。甲本ヒロトさんにも会いたくないし。なんでかって言うと、さっきも言ったように嫌われたくないんですよね(笑)。出会ってしまうと嫌われる可能性があるから、むぎの存在を知られずに一生を終えたいです。でも市子さんは同じイベントに出たことがあるので知られてると思うんですけど……コラボするのはちょっと恐れ多いですね」

――それでは最後に。先日の配信ライブのMCでは夢についても語っていました。で、むぎちゃんは過去のインタビューで夢とかヴィジョンがないと言っていたんですけど、今後の夢はないんですか?

「そう、同じ〈夢〉っていう言葉なのに、夜見る夢と、起きてる時に考える目標とかの夢の意味があるのは不思議だなと昔から思っていて。でも、いつも答える通りで、ないんですよね、夢。……ひとつあるとすれば、今この状態が本当に夢みたいなものなんですよ。思ってもいないところから大きなフェスに呼んでもらえたり、メジャーから声がかかったり、今いるのがまさに夢の中だなと思うので、この夢が少しでも続くように頑張りたいなと思います。みんなもこの夢についてきてほしいですね(笑)」