ノラ・ジョーンズやマデリン・ペルーと並び称される、現代のジャズ・ヴォーカルを代表するシンガーのメロディ・ガルドー。彼女が、実に5年ぶりとなる新作『Sunset In The Blue』をリリースした。ヴァイオリニストの寺井尚子らとともにリモートで制作した感動的なシングル“From Paris With Love”やスティングとのデュエット・ソング“Little Something”を含む本作は、ヒリついた前作『Currency Of Man』とは対照的に、慈愛にみちあふれている。
優雅でゴージャス、柔らかく温かい、聴き手を包みこむような音楽作品『Sunset In The Blue』。このアルバムは、どのようにして生まれただろうか? メロディ・ガルドー本人の言葉から、その制作背景に迫る。 *Mikiki編集部
MELODY GARDOT 『Sunset In The Blue』 Decca/ユニバーサル(2020)
クールなCOVIDコラボレーションがいっぱいあるの(笑)
メロディ・ガルドーが10月23日にリリースした新作『Sunset In The Blue』は、約5年ぶりとなる5作目のオリジナル・アルバム。スタジオに入ってレコーディングを開始したのは今年1月だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の状況を鑑みて一旦中断。春からリモート・レコーディングに切り替えて制作したそうだ。
「私はミュージシャンと一緒の空間で、そのひとのことをよく理解し、感謝の気持ちを伝え、ハグをして微笑みあう……そういうやり方が好き。いつもそうしてきた。だけど今回はその場に一緒にいられなかったでしょ。ひとの温もりがなかったのは辛いことだったわ。
よかったことと言えば、そうね、環境には優しい制作だった。飛行機で飛び回らなかった分、グリーン・オフセット(=カーボン・オフセット。CO2排出量の削減)になったから。それに、いままではひとが集まって何かを作るのが当たり前とされてきたけど、私たちの知らなかった新しい方法、新しい可能性があるのを見つけるいいきっかけにもなったのかもしれない。このアルバムにはクールなCOVIDコラボレーションがいっぱいあるのよ(笑)」。