ダーティ・ループス(Dirty Loops)『Phoenix』デヴィッド・フォスターも惚れたスウェーデンの超絶技巧トリオが不死鳥のごとく帰還

2020.11.25

HIT ME ONCE AGAIN
超絶スキルの演奏と圧倒的な歌唱力によって、日本でも人気を爆発させたスウェーデンのトリオ、ダーティ・ループスがついに帰ってきた! パワーアップした姿で不死鳥がいま羽ばたく!!

 音楽大国スウェーデンで結成され、YouTubeのカヴァー動画などが注目された結果、当時のヴァーヴ代表を務めたデヴィッド・フォスターの導きによって世界への扉を開かれることになったバンド、ダーティ・ループス。ジョナ・ニルソン(ヴォーカル/キーボード)、ヘンリック・リンダー(ベース)、アーロン・メルガルド(ドラムス)の3人全員が王立音楽学校の出身だというエリートぶりもトピックとしてはあったが、そうした御託よりも何よりもリスナーを強く惹き付けたのが、彼らの目を見張るほどのパフォーマンスと、彼らの作り出す楽曲そのものだったのは言うまでもないだろう。フュージョン・バンドかのような演奏スキルの高さで超ダイナミックなサウンドを紡ぎ出し、臆面もなくキャッチーで親しみやすいメロディーを超ストロングなヴォーカルで聴かせる……そんな根本的なカッコ良さに溢れた2014年のファースト・アルバム『Loopified』は、日本でもいきなり総合チャートのTOP10入りを果たすことになった。

 以降も頻繁な来日ツアーやマルーン5のアジア~オセアニア・ツアー帯同などがあり、ヘンリックは弟のエリックとリンダー・ブラザーズでのアルバムをリリース、ジョナもソロ曲“Coffee Break”を発表するなど断続的な動きはあったが、基本的には個人の活動が優先され、バンドでの活動は数年に渡って見えにくい状態にあったものだ。そんななか、2019年には久しぶりの新曲“Work Out Shit”と“Next To You”を発表。YouTubeのパフォーマンス動画も話題となって、復活が待ち望まれていた。

 そして2020年。4月に予定された来日公演はコロナ禍の影響で中止となったものの、そんな無念を吹き飛ばしたのが5月に公開された新曲“Rock You”の凄まじさだ。スティーヴィー・ワンダーを思わせるイントロの熱唱からグッと引き込まれ、彼らならではのグルーヴを楽しそうに発散する同曲は、トリオの完全なる帰還を告げるものだったに違いない。そうした前フリを経て届いたのが、実に6年ぶりのパッケージとなるEP『Phoenix』である。

 先述の“Rock You”で幕を開け、続くフュージョン色の濃いファンキーな“Work Out Shit”、 アリーナ・ロックを思わせるスケール感の中でテンポを自在に変えながら昇り詰めていく“Next To You”と強力な先行カットを連打。それに続く“World On Fire”はどこか『Bad』期のマイケル・ジャクソンを連想させるシンセ・ファンクで、本編ラストとなる“Breakdown”は落ち着いた歌唱とピアノを軸に聴かせる幻想的なミディアムだ。日本盤には〈Song For Lovers〉と題して公開されていたよりセッション的な4曲もボーナス収録され、アルバム・サイズのヴォリュームで彼らの問答無用な超絶プレイを堪能することができる。もっと聴きたくなるのが人情だが、まずは彼らの堅調な復活を喜びたい。

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