結成20周年を経て発表される新作は、ミックス・エンジニアにthe perfect meを起用し、また新たなモードに突入。両者の共通点である90年代感──例えばステレオラブに通じるような、ややローファイながら遊び心を感じさせる音色やアレンジが雑多に詰め込まれていて、非常にポップな作品となっている。キラキラしたネオアコにモジュレーションのかかったシンセが加わる“after squall”、ポスト・ロック的な編集感覚が楽しい“millim”、心地良く跳ねるリズムとストレンジな展開を併せ持つ“april”と、ミニマルなサウンド・デザインは時代性も内包しつつ、トレンドとは絶妙な距離感を保つ。スパングルらしい黄金律の“near you”も含め、あの頃を〈思い出す〉かのような、何とも嬉しい仕上がりだ。