©2018 Fox Vice Films Holdings, LLC and VICE Media LLC

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――なぜ、普通の子供達が過激なヘヴィ・メタルに惹かれるのだと思いますか?

「ヘヴィ・メタルって癒し系の音楽なんですよ。普段はモテない子がヘヴィ・メタルを聴いて力を感じる。歪んだ暴力的な音楽を聴くことで、世界に仕返ししているような気持ちになるんです。僕の場合、12~13歳の頃は友達があまりいなかった。でも、バンドを組んでハードな音楽をやったら超モテモテになりました。メタル好きの友達もできた。放火や殺人をするのはメタルとは関係ない。ヴァーグは完全にサイコパスですよ」

――若者が事件を起こしたら、ロックやメタルの影響を受けたと言われることがよくありますよね。マーティさんが在籍していたメガデスも、殺人犯が聴いていたと言われたこともありましたし。

「ほんと迷惑だよ! アメリカではメタルを聴いている人より、カントリーを聴いている人の方が暴力的な人が多い。ラップなんてさらに暴力的。メタラーは僕みたいに、ガリガリで小さなヤツがカッコつけるためにやってるだけ。法を犯そうなんて思ってないですよ。でも、この映画に出てた役者の演技はすごくリアルだった。映画でメタラーを見ると〈バカにしてる〉と思うことが多いけど、この映画は本人が演じているのかと思った。だからこの映画を、あまり観て欲しくないという気持ちもありますね。メタラーは危険だって誤解されるかもしれないから」

――メタルが危険なのではなく。メイヘムの連中が異常だということは観客にも伝わると思いますよ。彼らを美化せずに、最低なところは最低なままに描いていたので。

「だったらいいけど。とにかく、この事件のことをなんとなく知ってたという人は絶対観たほうがいいですね。何があったのか、事実を知って考えてほしい。メイヘムのファンがこの映画を見たら辛い気持ちになるかもしれないけど、ミュージシャンが悪いことをしても音楽は悪くない。だから、音楽はずっと聴き続けてほしいですね。僕はフィル・スペクター(先日獄中で他界したジョン・レノンなどの名プロデューサー)が大好きで、彼が殺人を犯した時はショックだったけど、彼の音楽はもう僕の一部。事件があった後も聴いているし、これからも聴き続けると思います」

 


PROFILE: マーティ・フリードマン Marty Friedman
ギタリスト。アメリカ・ワシントンD.C.出身。カコフォニー等のバンド活動を経て1990年、メガデスに加入。全盛期を支え、世界中に熱狂的なファンを持つギタリストとなる。ライヴ・ツアーで来日を重ねるうち日本通となり、ワールド・ツアー中に通信教育で日本語を学ぶ。メガデスの脱退後、2004年に活動拠点を東京新宿へ移す。スーパー・ギタリスト&日本好きの唯一無二の存在として才能を発揮。2017年、文化庁から日本遺産大使に任命され、内外で日本を紹介する文化活動を行うなどマルチ・アーティストとして活動中。近年のライフワークでもあるJ-Popカヴァー集の第3弾『TOKYO JUKEBOX3』を2020年10月に発売、4月にライヴ・ツアーを予定している。

 


CINEMA INFORMATION
映画「ロード・オブ・カオス」

監督・脚本:ジョナス・アカーランド
脚本:デニース・マグナソン
音楽:シガー・ロス
原作:「ロード・オブ・カオス ブラック・メタルの血塗られた歴史」(ele-king books/Pヴァイン)マイケル・モイニハン&ディードリック・ソーデリンド/著 島田陽子/訳
出演:ロリー・カルキン/エモリー・コーエン/ジャック・キルマー/スカイ・フェレイラ/ヴォルター・スカルスガルド
字幕監修:川嶋未来(SIGH)
アドバイザー:増田勇一
配給・宣伝:AMG エンタテインメント/SPACE SHOWER FILMS
提供:AMG エンタテインメント
2018 年|イギリス・スウェーデン・ノルウェー合作|アメリカンビスタ|117 分|R18+
©2018 Fox Vice Films Holdings, LLC and VICE Media LLC
2021年3月26日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにてロードショー! 以降順次公開