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インタビュー

映画「ロード・オブ・カオス」マーティ・フリードマンが語る、ブラック・メタルの王メイヘムの狂気に迫った衝撃作

©2018 Fox Vice Films Holdings, LLC and VICE Media LLC

ホント迷惑だよ! メタルがあったから救われたという僕のような人のためにも、事実を知って考えてほしい

 放火に殺人、80年代に様々な事件を起こしたノルウェーのヘヴィ・メタル・バンド、メイヘム。彼らに一体何が起こったのか。その真実と虚構を織り交ぜながら事件に迫った映画「ロード・オブ・カオス」を、世界的なメタル・バンド、メガデス出身のマーティ・フリードマンが鑑賞。メタラー目線で映画の魅力を語ってくれた。

 

――映画の題材になったバンド、メイヘムのことはご存知でした?

「もちろん知ってました。事件のことも。でも、そんなに詳しくはなくて、この映画で初めて知ったことがたくさんありました」

――メイヘムはブラック・メタルを確立したバンドとも言われていますが、マーティさんから見てブラック・メタルはどんな音楽ですか?

「メイヘムの頃はただのノイズでしたが、そこから進化しました。音楽的な面白いフレーズが入っているし、コード進行もユニーク。パワーがあるし、魂もあって好きですね。ヴォーカルは耐えられないけど(苦笑)ただ、僕が生まれ育ったアメリカでは、普通の人はあまり聴かない音楽ですね。普通だと思われたくない人が聴く」

――アウトサイダーを気取りたい人たちとか?

「さようでございます(笑)」

――歌詞の内容も反社会的だったり、反キリスト教だったりアンチな要素が強いですね。

「〈アンチ〉は重要ですね。ブラック・メタルの歌詞は宗教的な話ばかり。〈悪魔〉とか〈地獄〉とかダサいネタが多い。でも、神様を信じている普通のおばさんとかは、そういう歌詞を聴くと怖くて仕方ない」

©2018 Fox Vice Films Holdings, LLC and VICE Media LLC

――メイヘムのメンバーが教会に放火したり、聖書を破ったりするシーンは、日本人が感じる以上にインパクトがあるわけですね。

「すごくショッキングだと思います。でも、とてもチープな怖がらせ方。教会を燃やして喜んでいるシーンも子供みたいだったじゃない?」

――そうですね。〈ヤバいこと〉をやることで、自分たちが無敵になったような気がする。そういうところは本当に子供っぽい。そんな彼らが使う〈ポーザー(ド素人、カッコつけ)〉という言葉が印象的でした。

「もう古い言葉ですが、当時は絶対言われたくない言葉でした。ガチの侮辱。メタルを発見する前って、みんな軽い音楽を聴いてるじゃない? ポップスとか。でも、メタルを聴くようになった瞬間から、これまで聴いていた音楽を聴いたらダメ。メタルを聴き始めたばかりなのがわかると〈ポーザー〉って言われてしまう」

――映画のなかで、メイヘムのリーダーのユーロニモスが、バンドに入りたがっているヴァーグと初めて会った時、ヴァーグが付けているスコーピオンズのワッペンを見て〈ポーザー!〉って鼻で笑いますね。

「スコーピオンズを聴いているのはダサい!という感覚は超わかる(笑)。海外のメタルのファンはどんな音楽を聴いているかとても厳しく判断するし、独特のルールがあります。日本のロック・ファンはオープンですけど、アメリカでは自分が好きなジャンル以外の音楽を聴いているのを友達には絶対言えません」

――厳しいルールがあるんですね、ポーザー扱いされていたヴァーグが教会に火をつけて、そこからバンド内で犯罪行為がエスカレートしていきます。ポーザー扱いされたくない。仲間に認められたい、という気持ちがヴァーグが抱えていた狂気を呼び覚してしまう。

「この映画は音楽の話というより、いじめの話に近いと思います。いじめられる方は、いじめられないためにいじめる側が驚くようなことをしないといけない。バンドでヴァーグみたいに追い込まれることはまずないと思うけど。でも、この映画で怖かったのは、メンバー全員が普通の家庭の子供達だったことです」

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