声は楽器
――方向性を限定せず、自由に曲作りをしていらっしゃるということなので、曲ごとに解説をお願いしたんですが、1曲目“Twwen”のアップテンポなリズムは、エイフェックス・ツインに象徴されるブレイクコア的なアプローチであるようにも思いました。
「ああ、確かに。この曲とか4曲目の“Sorry”は、自分でもエイフェックス・ツインっぽいところがあるような気がします。曲作りはリズムから取り掛かるのか、メロディーから取り掛かるのか、曲によって違っていて、完成した曲には入っていないんですけど、この曲はもともとギターの弾き語りで作ったんです。その歌メロがすごい気に入っていたので、そのノスタルジックな響きに寄り添うストリングスっぽい奥行きのあるシンセの音を選んだり、ビートを当てはめていきました」
――近藤さんはロックンロール・バンドのヴォーカリストでもあるわけで、この曲をはじめ、Cwondoではオートチューンを多用しているのが意外な気がしました。
「最近は録音を重ねてきたこともあり慣れてはきたんですけど、元来自分の声を好きじゃないというところから来ているんだと思います。あと、No Busesでもそうなんですけど、声を声として捉えているというより、楽器のひとつとして考えていて、その声が担うメロディーの滑らかさを損なわないように歌詞も書いているところはどの曲にも共通する部分ですね」
――言葉の音声的な響きを意識しつつ、歌詞にはコロナ下の心境が綴られています。
「周りの友人にはまだ大学に通っている人たちもいて、(彼らにとっては)学生生活最後の年なのに、学校にも行けないし、卒業式もあるのかないのか。本来だったら充実した日々を過ごしていたはずなのに、それがなかったことになってしまうのがむなしいというか、多くの人がそういう状況に対して抱く、何できないむなしさやもやもやした気持ちを書き綴りました」
――続く、3曲目“Garbage”のリズム・パターンは2ステップ?
「ですね。この曲はリズムから作っていったんですけど、2ステップのビートに加えて、ラリ・プナに象徴される2000年くらいのエレクトロニカの雰囲気もあると思います。そこに乗る歌メロと途中で出てくるギター・ソロが気に入っているんですけど、No Busesのメロディーはバンドの雰囲気を保つための軸を意識しているのに対して、ソロのときはその軸がなくて、自分でもフレキシブルな拡がりを感じるんですよ。歌詞は余計なことを考えているとき、頭の中にあるものをつらつら書いていて、それを〈Garbage〉と呼んでいるという」
――4曲目の“Sorry”も1曲目の“Twwen”同様、ご自身でもエイフェックス・ツインの影響を感じる曲ということですが、どのように作っていった曲なんですか?
「エイフェックス・ツインっぽくしようと意識して作ったわけではなく、メロディーに合うリズムを当てはめていった感じで、一度完成したものの、納得がいかなくて。当初は『Too Hard EP』に収録を考えていたんですけど、それを見送って最初から作り直した曲です。歌詞は“Garbage”の内容をそのまま引きずっていて、主観的に書いた“Garbage”に対して、“Sorry”はいろんな人の視点から多角的に書きました」