米オレゴン州ユージーン出身のミュージシャン、ミシェル・ザウナー(Michelle Zauner)のソロ・プロジェクトであるジャパニーズ・ブレックファスト。彼女が、待望の新作『Jubilee』を2021年6月4日にリリースした。
本作で聴けるのは、ドリーム・ポップ/インディー・ポップ的な過去の音楽性から大きく飛躍したポップネスとゴージャスなサウンドだ。2021年のUSインディー・シーンで、もっとも注目されているアルバムのひとつだと言えるだろう。
その一方で、韓国系アメリカ人の視点から母との関係性やその死を綴った初の著書「Crying In H Mart」を上梓したザウナー。同書は米国で絶賛をもって迎えられており、さらに先日、映画化も発表された。
そんな、いまノリにノっているジャパニーズ・ブレックファスト=ミシェル・ザウナーに、新作についてたっぷりと話を訊いた。「Monchicon!」の清水祐也によるロング・インタビューをお届けしよう。 *Mikiki編集部
JAPANESE BREAKFAST 『Jubilee』 Dead Oceans/BIG NOTHING(2021)
バイデン大統領就任イベントでのパフォーマンス
――先日ジョー・バイデン大統領の就任イベントで歌っていましたが、あれはどういった経緯で実現したのでしょう? どうして“Everybody Wants To Love You”を選曲したのですか?
「たぶん、向こうからのリクエストだったんじゃないかな。明るくて、勝利を祝福するようなサウンドの曲だし。たぶん、アジア・太平洋諸島系アメリカ人による就任祝いのイベントだからっていうのも関係してて、当然カマラ・ハリス(副大統領)も同席してて。しかも、直前のギリギリになって決まったんだよね(笑)」
――バイデンへの支持を積極的に発信してたから?
「そうなのかな。(ドナルド・)トランプに対してバイデン支持だったのは、もちろんイエス。ホワイトハウスからトランプを追い出したときにはバンド・メンバー全員で飛び上がって喜んだし! バイデンの勝利が決まってようやく安心したっていうか、結果を待っていた3日間は地獄みたいに感じられたし。もしかして去年アメリカで起きた出来事の中で唯一よかったことかもしれない(笑)」
――緊張しなかった?
「事前収録だったからね。普段通りに演奏した感じで、特別な感じじゃなかったんだよね(笑)。ただ、コロナのせいでずっと一緒に演奏してなかったから、久々にメンバー全員で集まって、今までさんざん毎晩のように演奏してきた曲を一緒に演奏してさ。メンバー同士で〈もう何万回あの曲を演奏したかわかんないし、今さら何も感じないよね〉とか冗談半分に言ってたんだけど、収録のために1年ぶりに一緒に演奏したらものすごい感慨深くて、しみじみいいなあって思ったよ」