東京を拠点にNYやLAでも活動し、MONDO GROSSOへの参加でも知られるシンガー・ソングライター、大和田慧が2021年6月3日にリリースしたEP『LIFE』は、キーボーディスト・宮川純をプロデューサーに迎え、〈よくぞ今日まで辿り着きました!〉と言わんばかりの人生を肯定する一枚に仕上がった。

歌を生み出す大和田慧とサウンドを彩る宮川純。荒田洸(WONK)、伊吹文裕、角田隆太(モノンクル)ら多彩な参加メンバーとの信頼関係から、この作品をより楽しみ、より理解するための方法や楽曲解説まで。2021年6月29日(火)に東京・丸の内コットンクラブでのリリース・ライブが迫る大和田と宮川へ、メンバーと縁のある筆者・はろーがロング・インタビューを行った。しっかりと二人が同じ方向を向いた、強いメッセージとは。

〈生きていることって嬉しいな〉というメッセージにこのEPは尽きるんです

――2019年リリースの『シネマティック』以来、2年ぶり。幸福感に溢れた作品『LIFE』、リリースおめでとうございます! 昨年シングル第一弾としてリリースされた“Life”を聴いた時、心震えたことを覚えています。2021年は暖かい陽が差すような年にしよう、希望を持っていいんだって。それでは、初めに訊かせていただきます、ずばりどういった作品になりましたでしょうか。

大和田慧「〈生きていることって嬉しいな〉というメッセージにこのEPは尽きるんです」

大和田慧

――〈生きていることって嬉しいな〉……ですか。なんて、大きく温かな言葉。

大和田「このEPを聴いて、感情を解き放ってもらえたら嬉しいなって。去年4月の自粛期間中、配信ライブ・フェスに参加して、仲間のライブを観たりトークを聞いたりしたんですけど、その時〈久しぶりに会えて嬉しいな〉という感情だけじゃなく、〈ものすごく寂しかった〉っていうことにも気付いて、もうひとりで家で泣いてしまって。こういった感情になるのも、みんなのことや、これまでの日々を愛しているからだなと。

耐えたり我慢したりすることが美徳になりがちな今、そんな思考にたどり着くことに我慢せず、愛しているものを愛したいって言っていい。葛藤や孤独、そういうことも含めて、生きていることって愛おしいし嬉しいなって」

――そんな力強いメッセージを彩り、プロデュースされた宮川さんから見て、どのようなEPになりましたか。

宮川純「とにかく、この5曲で完成されたEPになりました。引き算しようとしても、余裕があるから何か追加しようと思っても、このサイクルは生まれない。もう何もしなくていいと心から思えた作品です。この5曲を並べてループさせた時に現れる、ストーリーの持つ力に強い意味を感じたのです。輪廻転生というのかな……」

宮川 純

――とても分かります。最終曲“You will never lose me”からオープニング“Life”に帰った時、シングルで聴くのとは違った大きな希望や輝きを感じました。

大和田「その聴き方は本当に嬉しいです。最後の曲“You will never lose me”はある種〈自分が大切にしていたものを失った〉ことを歌っているので、5曲聴き終わっても、また喜びへ輪廻していくような、〈Life〉というタイトルに繋がっていく形を楽しんでいただきたいです」